その先へ ページ49
浅野塾に着くと、學峯お兄さんは仕事が終わったようで、塾の扉を閉めていた。
「學峯お兄さん!」
「Aちゃん。
卒業式終わったんだね。」
「うん!
パパがね、今日はお寿司だって。」
「そうか。」
學峯お兄さんに頭を撫でられて、私は笑顔を返す。
「卒業おめでとう。」
「えへへ、ありがとう。」
「行こうか。」
「うん!」
前に、私は思い切って學峯お兄さんへ思いを伝えたことがあった。
學峯お兄さんが好きだということを。
*
「學峯お兄さん…私、學峯お兄さんが好き。
ずっと好きなの。」
「そうか……ありがとう。
でも、私は……「知ってるから。」えっ?」
答えなんて知ってる。
學峯お兄さんは私のことを大切な娘だって思ってる。
それに、學峯お兄さんは
「クロお姉ちゃんが好きだったんだよね?」
「Aちゃん……」
「だって、クロお姉ちゃんのことは、クロって呼び捨てなのに、私のことはずっとAちゃんなんだもん。
私…學峯お兄さんの特別にはなれないって分かってたから。
それでも…好きだったこの気持ちだけは伝えたかった。
クロお姉ちゃんに対抗したかったのかな……えへへ。」
學峯お兄さんは、ごめんねと言って私の頭を撫でた。
これで良かったたんだ。
すっきりした。
*
家に着くと、大きな大皿にはこれでもかと大量のお寿司が並んでいた。
どんだげ作ったの!!?
「いや〜作った甲斐があります。」
「化け物だよ、この人……」
どうやら勝負はパパの勝ちらしい。
学秀お兄ちゃんは、悔しそうにしていた。
「ねぇ、パパ……
私、これからもパパの側にいるからね。」
「はい。
ちゃんとAの成人式の写真を撮る計画はすでに考えていますから。
安心して下さい。」
いや、さすがにそれはまだ早いような……
でも、きっとあっという間なんだよね。
これからも私の時間は続く。
私は、まだ見ぬ未来に向かって、進んで行くんだ。
(終わり)
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江華 - 番外編も更新頑張ってください! (2018年11月15日 21時) (レス) id: fbe2f2b326 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - 江華さん» 完結はしましたが、本編で載せられなかったお話しがいくつかあるので、番外編を出したいとは思っていました。丁度お声を下さりありがとうございます! (2018年11月15日 21時) (レス) id: eca00d5e47 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - 江華さん» コメントありがとうございます。すいません、返信遅くなりました。最後まで読んで下さりありがとうございます。作者の励みになっております! (2018年11月15日 21時) (レス) id: eca00d5e47 (このIDを非表示/違反報告)
江華 - 完結お疲れさまデーース! これで完結、なんか寂しいです(泣) 、時間があれば番外編書いてくれますか? (2018年11月14日 19時) (レス) id: fbe2f2b326 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - 江華さん» コメントありがとうございます。すいません、返信遅くなりました。スランプ気味で亀さん更新ですが、少しずつ更新出来るよう頑張っていきますので、応援宜しくお願いします。 (2018年5月10日 22時) (レス) id: eca00d5e47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2018年5月2日 23時