11.おばけって!!! ページ11
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その声にはっとしたように顔を上げたAと視線が交わった。
数秒後、事の重大さを理解したAの顔がみるみるうちに真っ青になっていく。
『…とっ…冨岡さん…!?…うそ、ごめんなさい!大丈夫ですか!?』
「気にするな、
驚かせて悪かった。」
冨岡が屈んでAにそう言うと、地面に膝をついたAが冨岡の頬に触れた。
咄嗟のことで思わず顔が強ばる冨岡を見ると、「痛いですよね、ごめんなさい」と言って手を引っ込める。
『すみません私、おばけかと思って…。』
おばけ、というワードに冨岡に衝撃が走る。
おばけって!おばけって!可愛い。
『……冨岡さん、この後用事とかありますか?』
「ない。」
もう一度鼻を啜ってから首を振る。
『蝶屋敷で手当てするので寄ってもらっても良いですか?』
申し訳なさそうに俯きながらも、ちらりと冨岡を見上げるA。
…意図してのことでは無いだろうが上目遣いになっている。…か、可愛い。
「分かった、行こう。」
涙なんか引っ込んでしまった冨岡は、キリリとした表情で即答した。
(…殴られてよかった。)
冨岡の脳内は早速宴の準備を始めている。
「……?」
ふと、立ち上がろうとしたAがどんどん焦りの表情になっていく。
「どうかしたか。」
怪訝に思った冨岡が再び屈んで、Aに訊ねた。
Aは、何度か地面に手をついて腰を上げようとするが、数回試みた後絶望したように冨岡の方を見た。
『……腰が抜けて、立てません…。』
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「…本当にすまない。」
『いや、私の方こそごめんなさい…。』
Aは、冨岡の腕の中で軽く死にたくなっていた。
腰を抜かして立てなくなってしまったAは、冨岡に背負ってもらうことになった。…だいぶそれだけで死にそうなのだが、タイミングが悪すぎることに彼女は右腕を骨折しているのだ。もちろん、背負ったりなんかしたらひとたまりもない。
肩に担ぐことや脇に抱えること…それら全てが無理だろうということになった今、残された道は1つだけである。
『(姫抱きとか……むり、申し訳ないし恥ずかしい…!)』
殴ってしまった上に屋敷まで運んでもらうなんて…。
痛いですよね、重いですよねごめんなさい!
「(…何も考えるな義勇。)」
相変わらず二人の間にはぎこちない空気が流れていた。
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美穂(プロフ) - こんばんは☆これからの更新楽しみにしてます♪ (2020年12月4日 0時) (レス) id: f672b2976e (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 我妻ライさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!がんばりますね( *´艸) (2020年11月6日 22時) (レス) id: e457bdd78b (このIDを非表示/違反報告)
我妻ライ - 面白いです!更新がんばってください!( ´∀`) (2020年11月6日 17時) (レス) id: 895c90ff24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2020年9月18日 22時