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重岡side
手紙の続きにはこう書いてあった。
『手紙の最後に、みんなに伝えたいことを書きます。
あっ、病院の最後の昼ご飯きたから食べてから書くわ!笑笑笑笑 』
手紙はこれで終わっていた。
Aは、この時に食べたものが原因で逝ってしまった。
なぁ、A。
おまえが伝えたかったことって何なん?
紙袋に入っていた、残りの2つはみんなで同時に開けた。
大きな画用紙には、
A以外のメンバー7人が満面の笑みでこっちを向いている絵だった。
そこに大きな太陽。
メンバーの絵はまるで写真のように上手いのに、
太陽の絵はわざとクレヨンで下手に描かれていた。
きっと、この太陽がAなんやろ。
最後まで、目立ちやがって…
CDの表面には何も書かれていなかった。
CDを再生すると、
Aの肉声。
「曲を作ってみました。よかったら、みんなで歌ってな。曲名は、『アンジョーヤリーナ』。」
それを聞いた瞬間。濱ちゃんが驚いた表情をした。
「これ、俺が言った題名やん…」
曲を聴きながら、濱ちゃんは泣いていた。
みんなも泣いていた。
ごめん、A。
手紙読み終わったのに、早速泣いてしまったわ。
あいつらしい歌詞やった。
‘号泣するくらいの感動を
一生一度の冒険を’
曲が終わると、
またAの声が流れてきた。
「みんな、ありがとう。大好きや」
これが、あいつが1番伝えたかったことなんかもしれん。
みんなでまた泣いた。
命はこんなに儚いものなのか、と。
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作者名:せいか | 作成日時:2019年6月2日 1時