Memory【TREASURE】 (ページ16)

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🐺side

最近Aの様子がおかしい。

明らかに元気がないのだ。

いつもうるさいくらいに喋りまくってあちこち動き回ってるからこそ心配になる。

普段は宿舎にいる時は誰かしらの隣に引っ付いてるけどここ最近は自分の部屋から出てこない。

ルトに言っても「そういうこともあるでしょ〜」としか言わないし。

そういう日が続いた矢先のこれだ。

流石のハルトも焦って言葉が出ていなかったし、これは只事じゃなさそう。

宿舎に向かう車の中で一言も話さなかったけど、2人の頭の中は同じことに埋め尽くされてたと思う。

「もっと早く気づいてあげられたはず」

「一人きりで悩んでいたの…？」

「万が一Aに何か直接的に危害が与えられてしまったらどうしよう」

今考えても仕方ないと分かっていても、いつまで経ってもそんな考えに支配されてしまっていた。

ガチャ

🦋「ただいま」

🐺「ただいま…A、？」

宿舎についてAの姿を探すもやはりリビングにはいない。

🦋「もう寝てるかな…」

🐺「ありえるね、起こすのは流石に…」

2人でそーっとAの部屋に向かうと案の定寝ているAの姿があった。

🦋「明日聞くか」

🐺「うん、そうしよう」

🦋「怖かっただろうな、」

🐺「一人きりで抱えてたなんて…」

年上の男性から毎日何回も電話がかかってくる恐怖は計り知れない。

まだAは17歳。

どれだけ辛かったんだろう…

幼さを残したあどけない寝顔を2人で見つめながら、そばに居るのに何もしてあげられない自分を憎むと同時に心が痛くなった。

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🦋side

「あれ、？Aは？まさかもう行ったの？」

🐺「いつものカバンも練習靴もないからもう行ったんだと思う…」

今日の練習は11時からなはず。

時計を見ると8時半。

早起きが苦手なAがこんな早くに家を出て会社に向かったってことは俺らに勘付かれてることに気づいて避けた…？

スマホを見るとAからカトクが入っていた。

『会社に忘れてたね、ごめん、スマホありがと』

🦋「絶対気づいてる…」

はぁ…なんて切り出せばいいんだ…と思いつつジョンウに声をかけて先に宿舎を出ることにした。