8.会いたくなかった ページ8
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「はーいそれじゃあ皆ー?今日は、お侍さんに来てもらいましたー!」
「ん、あーどうもー。侍やってます、坂田銀時です」
なぜだ。
なぜ
神様嘘と言ってくれ。
あれは、冗談じゃなかったのか。
「おにいさん、おさむらいさんなのー?」
「おう、そうだぞー。すっごく強いからね〜」
「でも、おさむらいさんはもういないって、ママがいってたよー?」
「俺はその生き残りなんだよ。そう滅多に見られるもんじゃないからな」
「すごーいっ!」
子供達は皆、その銀髪侍を囲んで本物の侍を見て楽しそうである。周りの先生も、侍をあまり見たことがないのか興味ありげに近くで見つめていた。
そんな中、私は存在を薄くするように遠くへ。
不自然に思われるが仕方ない。
すると、それをすぐに見つけた花乃ちゃんがこちらへやって来た。
「先輩?どうしたんですか、こんなところで。
もっと近くで見ましょうよ、本物の侍なんて滅多に見れないですよっ」
「い、いや、私は遠慮しとく…」
「ええー?なんでですか?」
「いや……」
私が、脇役人生で最も会いたくなかった男だからだよ!!
しかも、職場まで来られたらたまったもんじゃない。
最悪だ。
そんな心を知らず、花乃ちゃんは行きましょうっ、と手を掴んで私は連れ出された。
「ほらっ、先輩。侍ですよ……って、先輩なんで帽子被ってるんですか?」
「い、いや、なりゆき」
「なんか、先輩今日変じゃないですか?」
「そ、そんなことないよっ。気にしないで、ね?」
「そ、そうですか?なら、なんで私の後ろに隠れているんですか?」
「…人見知りだから」
花乃ちゃんのご最もな質問に、苦しい言い訳で返す他ない。
これだけでも、少々目立っているだろうに。
「はーい、それじゃあ今日は皆にこのお侍さんから剣術っていうのを体験してもらいます」
「けんじゅつ?なにそれー」
「剣術っていうのはね、簡単に言うと刀を振ったりすることだよー。皆には、剣はまだ危ないから代わりに竹刀で振ってもらいます」
「わー!けんみたいー!」
皆、竹刀にも興奮気味だ。
それぞれに人数分の竹刀が配られる。
配っていたのは、主人公の傍らにいる2人の眼鏡を掛けた少年とチャイナ服の少女だった。
この2人も来ていたのか…。この2人もメインキャラ。
とにかく今は目立たぬよう、この場をやり過ごそう。
私はそう心に決めて、メインキャラ達に関わらぬ距離に身を置いた。
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作者名:朝顔 | 作成日時:2021年3月1日 18時