佰漆拾肆 ページ24
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小「……知らん、知らん。もういい、今回の件でようやく分かった。姉様は信用するに足りない。こちらにも御手紙が届いた。これから六ヶ月間、姉様には監視が付く」
『……監視?』
小「あぁ、監視だ。隊士や隠が代わる代わる姉様の傍で過ごす。安心しろ、有志は掃いて捨てるほどいる」
マジでか。勘弁してくれ。こっそり筋トレするつもりだったのに。
『…そんなことしなくても、逃げはしないよ』
小「いいや逃げる。言っただろう、姉様は信用するに足りない。というか姉様は何も分かってはいないんだ。現に、半年前に俺が真剣に並べた言葉も耳から耳へ通り抜けて行ったようだしな」
『違うよ、ちゃんと覚えてる』
小「覚えているだけでは意味が無いだろう。あの時の言葉は結局有耶無耶に躱されて、何の意味も成さなかった」
『そ、それは……』
出来ない約束はしない主義なんだ。でも確かに、本気で私の身を案じてくれた小芭内に対して失礼な結果になってしまったな…
『…すまなかったと、思っているよ』
小「そう思うのならあまり俺を落胆させるな。…俺を、あ、愛しているのならな」
そう言い捨てて部屋を去っていく小芭内。
…………………………で、デレた…!?
『ッ善処するよ!私は小芭内を愛しているからね!!!』
影もない襖に向かって叫ぶと、遠くから"煩い!!"と小芭内の声がした。ちぇ、照れなくてもいいのに。
『…………ふぅ……』
少し、疲れた。流石に六ヶ月ぶっ通しで眠り続ければ体力も落ちるか。
いつの間にか握り締めてくしゃくしゃになってしまった手紙を広げて、折り畳む。
ぱっくりと割れていたはずの手のひらは、すっかり治っていた。
──" 君は着実に鬼へと近付いているよ "
『(……っ違う、そんなわけ…)』
慌てて頭を振る。あんなのはデタラメだ、きっと。
『…さて、これからどうするか』
せっかく植えた彼岸花もきっと旬を終えて球根に戻ってしまっているだろう。あーあ、結構大量に買ったのにな……
『(……これから六ヶ月間、刀を握れないのか)』
鬼を斬り始めてからはや十数年、こんなことは一度もなかった。
有一郎くんを助けて片腕を失くしていた期間さえ刀は手放さなかったのに……
辛い。鬼狩りは、私の生き甲斐のようなものなのに。鬼を狩れない私の存在意義とは……
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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時