佰陸拾漆 ページ17
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小芭内side
朝、隠が慌てた様子で屋敷を訪れた。
小「…………何故お前がそれを持っているんだ」
隠の手にあったのは、真ん中で綺麗に割れた狐面と、組紐。
Aのものだ。
…乾いた血が茶色くこびりついている。
小「……あの人に、何かあったのか。お前は何をしにここに来た」
涙ながらに隠は言い淀む。
小「早く答えろッ…!!!」
隠「っ私は!……A様の…ッ…消息が絶たれた事を、伝えに参った次第でございます………」
小「…………は…、」
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人手をこれでもかと注ぎ込んだ捜索が行われた。
胡蝶という隊士によれば、無人の廃れた村で重傷を負ったAを見たのが最後らしい。
実際その地に赴けば、肌が粟立つほどの血溜まりと、見覚えのある黒髪が辺りに散っていた。
その場に倒れていたらしい花柱は、藤屋敷に運ばれてから未だなお目を覚ましておらず、何があったのかを語るものは誰一人として居ない。
Aは血を流しながらも自力で何処かへ行こうとしていたようで道に沿って血痕が残っていたが、辿っていくと途中でその血は途絶えていた。
止血に成功したか、道すがら何者かに保護されたか、その他のどれとも判断がつかない。
空には何羽もの鎹鴉が飛び交う。柱も数名動員しているらしい。
鬼殺隊の空気は、まるで通夜。隊士の間では、何の根拠もない憶測が蔓延っていった。
"鬼に食われた"
"鬼になった"
"鬼に攫われた"
何より嫌だったのは、誰もがAの
嫌だ。違う。Aは死んでいない。死んでいないんだ。
あの人が、死ぬわけない。
ありえない。許さない。
俺を残して、死ぬなど。
昼夜問わず捜索は行われる。
その二日後の、夕暮れ頃。藤襲山にて。
冷たくなって地面に横たわっていたAが、彼女の鎹鴉によって発見された。
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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時