佰陸拾肆 ページ14
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『(とにかく、守らないと…!!)』
カナエに覆いかぶさり、一瞬だけ息を大きく吸った。
呼吸によって瞬間的に筋肉を硬化させる。煉獄さんにも教えた防御方法だ。
童「邪魔だなぁッ…!」
『っく……ッ!!』
服が破れ、肉が裂ける音がした。
やはり完全に防ぎきることはできなかったか……
呼吸のおかげでそこまで深くはないらしいが、重傷に変わりはない。
童「…おや、結構本気で行ったのに、死ななかったね」
『…………っげほ…ッ…』
童「流石だなぁ、よかったよかった。殺してたら俺が殺されるところだったぜ」
口を手で押えてまた咳き込むが、受け止めきれなかった大量の血が溢れ出た。
カナエちゃんの隊服に赤黒い染みができる。
……申し訳ない。
__チュンチュン、チュン
『…………………』
遠くで小鳥の鳴く音がして、朝の訪れを知らせる。
童「そっちの子は…じきに死ぬか。本当は君を連れて帰りたかったんだけど、ボロボロの君を無限城に連れていったら俺が怒られるしなぁ」
"俺の為にも、死なないでね"そんな言葉に振り返れば、童磨はいつの間にか姿を消していた。
『(私をこんな状態にしたのは何処のどいつだっつうの…!!)』
__
『(痛い、痛い、肺の壊死が止まらない…まずい、どうしよう、……)』
ヒューヒューと喉が鳴る。痛くて全集中どころか普通の呼吸さえままならない。血鬼術の氷が身体から抜け切っていないんだ。
…どうにか、どうにかしないと……
『(でもその前にカナエちゃんを……)』
きっと先程の血鬼術でまた肺をやられているだろう。
…少しだけ、私に移しておくか。
『(いたいの、いたいの、飛んでこい)
……ぅあッ…っは、はッ………っ……!』
思わず地に手を着く。
きつい。息苦しさと痛みを紛らわすように、胸の辺りをぐっと掴んだ。
馬鹿みたいに身体が重いな。
背の斬り傷からは血が止めどなく流れているのを感じる。
駄目だ、圧倒的に血が足りない。
徐々に体温が下がっていく。
「……さ、!…ぇさん!……」
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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時