検索窓
今日:10 hit、昨日:98 hit、合計:308,979 hit

佰陸拾肆 ページ14

.






『(とにかく、守らないと…!!)』




カナエに覆いかぶさり、一瞬だけ息を大きく吸った。



呼吸によって瞬間的に筋肉を硬化させる。煉獄さんにも教えた防御方法だ。



童「邪魔だなぁッ…!」


『っく……ッ!!』



服が破れ、肉が裂ける音がした。

やはり完全に防ぎきることはできなかったか……


呼吸のおかげでそこまで深くはないらしいが、重傷に変わりはない。




童「…おや、結構本気で行ったのに、死ななかったね」


『…………っげほ…ッ…』


童「流石だなぁ、よかったよかった。殺してたら俺が殺されるところだったぜ」




口を手で押えてまた咳き込むが、受け止めきれなかった大量の血が溢れ出た。


カナエちゃんの隊服に赤黒い染みができる。

……申し訳ない。




__チュンチュン、チュン




『…………………』



遠くで小鳥の鳴く音がして、朝の訪れを知らせる。



童「そっちの子は…じきに死ぬか。本当は君を連れて帰りたかったんだけど、ボロボロの君を無限城に連れていったら俺が怒られるしなぁ」




"俺の為にも、死なないでね"そんな言葉に振り返れば、童磨はいつの間にか姿を消していた。



『(私をこんな状態にしたのは何処のどいつだっつうの…!!)』








__








『(痛い、痛い、肺の壊死が止まらない…まずい、どうしよう、……)』



ヒューヒューと喉が鳴る。痛くて全集中どころか普通の呼吸さえままならない。血鬼術の氷が身体から抜け切っていないんだ。


…どうにか、どうにかしないと……



『(でもその前にカナエちゃんを……)』



きっと先程の血鬼術でまた肺をやられているだろう。


…少しだけ、私に移しておくか。




『(いたいの、いたいの、飛んでこい)


……ぅあッ…っは、はッ………っ……!』




思わず地に手を着く。


きつい。息苦しさと痛みを紛らわすように、胸の辺りをぐっと掴んだ。


馬鹿みたいに身体が重いな。

背の斬り傷からは血が止めどなく流れているのを感じる。


駄目だ、圧倒的に血が足りない。


徐々に体温が下がっていく。





「……さ、!…ぇさん!……」

.

佰陸拾伍→←佰陸拾参



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (909 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4397人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。