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佰陸拾弐 ページ12

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童「……あれ、あれあれあれ?ふふふふふ……」



ぱっくりと割れた両手を庇いながら、立ち上がる。幸か不幸か、痛みはない。アドレナリンがドバドバ出ているようである。


そんな私を見つめながら、童磨は不意に笑いだした。



『…何だ、気でもふれたか』


童「いやだな、そんなんじゃないよ、ふふ…」



尚も笑い続ける童磨。何がそんなにおかしいんだ。



童「そうだよ、何かおかしいと思ったんだ、君。俺の友達の気配がすると思えば、そうか、そうか」



意味ありげに呟く。訳が分からず目を細めた。



童「そう、その眼!

久しぶりに見たなぁ、紅い水芙蓉は!」


『!……彼を知っているのか』


童「知ってるなんてもんじゃないぜ!芙蓉は俺の友達だ!もっとも、アイツは違うと言い張っていたけど」



"芙蓉は照れ屋なんだ"、と付け加えた童磨。

それ絶対違う。一方的なやつ、絶対。



童「そうかぁ、あいつは死んだのか、悲しいな、それで君がその瞳を…そうかそうか」


『…泣くな。気味が悪い』



美人の泣き顔はどの時代も恐ろしく美しいものだ。目の前の彼も然り。


……だめだ、顔の良さに絆されてアドレナリンの分泌が止まり始めた。イケメン克服したんじゃなかったのか、私。



痛い、手のひらも全身の関節も鼻の先のかすり傷すら痛い。


痛い。



童「どうりで君の気配が鬼に近いわけだ。それなのに昼も夜も活動しているんだろう?可哀想に」


『……なにを、言っている』


童「気付いていなかったのか、なんと哀れな。



今この瞬間も、君は着実に鬼へと近付いているよ。身に覚えはないかい?日光が異様に痛い、だとか」


『…………』



身に覚えなんて、ない。あってたまるか。

確かに、ここ数年で疲れやすくなった、とは思う。でもそれは、それは……


……なんで、だろう。もしかして、日中に陽を浴びているせい…?


でも、でも、私の糧は人肉じゃないし、藤の花を毒と感じたこともない。



童「悩んでいるね。うんうん、わかるよ。人間は意味もなく迷い葛藤する可哀想な生き物だからね。


…ん?ということは、君はまだこちら側(・・・・)ではない、ってことか」



『…………』



惑わされるな。話がデタラメである可能性も十分にある。




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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時

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