佰陸拾壱 ページ11
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体力温存のため、こちらから仕掛けるようなことはしない。
攻撃をいなす為だけに振るっていた刀は、刃こぼれし始めていた。
今までこんなことは無かったのに。太刀筋が鈍くなっているんだろう。
腕が、全身が、疲労で震えている。
『(クソ…………結構、いや、だいぶキツいな……)』
童「凄いねぇ君！今にも死にそうな顔色なのに！」
童磨は何故だか血鬼術を使わない。この膠着状態を楽しんでいるようだった。子供のように無邪気にニコニコと笑いながら、今も尚攻撃を仕掛けてくる。
夜明けが近いはずだが、朝日が昇ってくる気配は一向にない。
着々と、焦りだけが募っていく。
『…ッ……』
避けきれなかった斬撃が、私の頬を掠めた。
ツゥと血が垂れたが、それを拭う暇もなく次の攻撃が私を襲う。
土を踏み込みそれを避けたが、地に足を着いている感覚はもう数分前から無くなっていた。
童「あらら、切れちゃったねぇ。ん〜、稀血のいい香り。少し味見するくらいなら、怒られないかな？」
『っいいや、怒るだろうな…ッ』
童「たしかになぁ。でも、不慮の事故なら仕方ないよね？
例えば、図らずも血飛沫が口に入ってしまった、とか」
『…………ッ！？』
瞬きの間に童磨は目の前へ迫っていた。
振りかざされる扇。受け止めるしか方法はない。
咄嗟に日輪刀を構え、強い衝撃に備える。
＿＿パキンッ…
『ッ折れ……！？』
日輪刀が、折れた。
『(まずい、避けきれな…っ！)』
防御もむなしく迫り来る扇を目前に、私の身体は殆ど本能で動いていた。
ぐんと腰を逸らし、上体を捻る。
地に倒れこむようにバランスを崩した身体が、折れた刃を地面に突き刺した反動で大きく飛躍した。
鼻先から血が垂れる。どうやら扇が掠めて切れたらしい。
狐面が外れ視界が開けた先では、宙に浮いた私を童磨が爛々とした目で見上げていた。
童「おや、そんなに綺麗な顔をしていたんだね！あの方も寵愛なさるわけだ」
宙に浮いた私に、童磨が飛びかかる。
＿＿ガキンッ！！
童「おや…？」
扇は私を割くことなく。
私の身体は地がひび割れるほど強く叩きつけられた。
両手から、とめどなく血が流れる。
童「……なるほどね、折れた刃を持っていたのか」
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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます！ (8月31日 22時) (
レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり！？続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます！！ (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです！いつまででも待っております。更新よろしくお願いします！ (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ；∀；) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M2
| 作成日時：2020年6月4日 20時
