佰伍拾壱 ページ1
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『………………』
小芭内を待っている間に本を読もうかとも思ったが、本棚から本を取るにはこの布団から出なければいけない。
『………………』
襖の方からは視線を感じる。時透双子だ。
おそらく小芭内から、私の監視を命じられたのだろう。
よって、未だにここから動くことが出来ずにいる。
『……………ん…?あれ…?』
じんわりとした痛みを感じ、先程倒れた時に打ったであろう右膝を見た。
青痣が出来ている。押すと痛い。
『(この程度の怪我も直ぐには治らない、か………)』
まぁ何も食べてないから傷が治らないのも当たり前かなぁ。
小「……姉様」
小芭内が戻ってきた。手にあるお盆には、うどんが。美味しそう。
『……あぁ、わざわざすまないね』
ちらりと廊下を覗いてみると、時透双子はもういなくなっていた。二人に気を遣わせてしまったかな。
小「…食えるか?」
『問題ないよ。どうもありがとう』
受け取って、静かに麺を啜る。
『…んん……おいひい………』
温かい出汁が、じんわりと優しく体内に染み込んでいった。
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小「…姉様、」
半分ほど食べたところで、小芭内が不意に口を開く。
『なんだい?』
小「……くれぐれも、無茶はしないでくれ」
『う〜ん……約束はできないかもしれないね』
小「…そんな生き方では早死にしてしまう」
『……………耳が痛い台詞だな』
前世でも似たようなこと言われたね。その言葉の通り早死にしたしね。
『…まぁ、私は我慢強い方だから、ある程度なら大丈夫だ』
小「とんでもない暴論だな。そんな考え方をしているのなら尚更引き下がるわけにはいかない。そもそも姉様は我慢の仕方を間違っている」
『間違っている、と言われてもね……私にとっては当たり前の生活なんだ。どこを直すべきか見当もつかないな』
小「…"当たり前"が人によって違うことは重々承知している。が、それを踏まえたとしても姉様の言う我慢とやらはやはりおかしいんだ。
我慢というのは、自身の限界の際を見定めることであって、それを無視することとは断じて違う。決して自身を軽んじることでもない」
『………………』
小「貴女はいつも刀を握ってばかりだ。倒れるまでして刀を振り続ける理由は一体何処にあるんだ」
『……少しでも早く、確実に、助けたい人がいる。ただそれだけだ』
まぁ一言で言っちゃえば"原作改変"なんですけどね!!
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らっつ - 久々に見に来たら更新されてびっくり。素敵なお話をありがとうございます! (8月31日 22時) (レス) @page25 id: c7494693fb (このIDを非表示/違反報告)
透水 - 終わり!?続きは無いのでしょうか… (7月21日 13時) (レス) @page25 id: e8fae7b723 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 面白いです、続き待ってます!! (7月21日 0時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ppp - 更新、本当にありがたいです!いつまででも待っております。更新よろしくお願いします! (7月20日 10時) (レス) @page25 id: 746217eb38 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - うん.....泣きましたぁ( ;∀;) 本気と書いてマジで (6月15日 14時) (レス) @page25 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年6月4日 20時