佰肆拾肆 ページ44
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宇髄side
"食べ終わったら適当に帰ってくれて構わない。ろくにもてなしもできず、すまなかった"とわざわざ丁寧にも断りを入れたAに、適当に"おう"と返した。
まぁ好きな時に帰れと言うのなら、もう少しここに居座るとしよう。Aの言う"稽古"にも興味があるしな。
またひとつ、饅頭をつまんで食った。やべぇ。このままだと無くなるな…
『もうあまり時間が無いな。
……私の都合ですまないが、稽古内容を変えよう。打ち合いだ。全員でかかってこい。木刀を私の身体に当てたら終わり。いいな?』
Aの言葉に、また隊士達は弾かれるように返事をした。
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あれからもうかれこれ数十分は経つが。
宇「………おい、そこの」
「はっはい!っ…なんでしょうか!」
Aによって一瞬にして弾き飛ばされた隊士に声をかけた。
宇「Aは何故お前らに稽古なんざつけてんだ」
「さぁ…本人は成り行きだと仰っていましたが……」
宇「……………へェ」
アイツが柱にならないのは、鬼を狩るうちに何か、階級をひとつ上げるには致命的な怪我でも負ったからかとも思ったが、どうやらそうではないらしい。
まぁ以前の合同任務での戦いっぷりからするに、そこらの鬼相手に傷を作るようなヤワな女ではないことは重々承知できる。
伊黒から聞いた今の彼女の仕事の多さを考えると、単にこれ以上仕事を増やしたくないだけなのかもしれない。
……ってか数日に一時間の睡眠ってなんだ。
人間ってそんだけの睡眠で生きていけんのか?
俺の視線の先は、未だに木刀を振り続けるAの姿。
そこそこ鍛えているはずの隊士複数名を軽々といなすだけでなく、的確な助言まで与えている。
ただの打ち合いではなく正に、稽古、という印象を感じた。
身体の動かし方や相手の自覚していない短所、隊員同士の連携の仕方などを同時に学ばせている。恐ろしいほどの敏捷性と観察眼だ。
容赦はないが力の加減はしているようで、飛ばされた隊士達にそれほど痛みはないらしく、彼らはまた果敢にもAへと飛びかかって行く。
ずっとそれの繰り返しだ。おかげで数は全く減っていない。
にも関わらず、誰一人としてAに触れることさえも出来ずにいた。
宇「……(あの狐面で視界も派手に遮られているはずだが……後ろからの攻撃も完全に防いでいる……)
………あっ、饅頭なくなったわ」
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MARE(プロフ) - 海の中で目開けでも染みませんよ。普通の水と同じです(体験談) (2021年6月26日 20時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
かん - お久しぶりでございます…!楽しみにしてました。これからも楽しみに待っております! (2020年6月7日 16時) (レス) id: b9832c7634 (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - すごいハマってます。小芭内かわいいです/笋靴砲呂燭泙蠅泙擦鵝そしてむいくんの可愛さも尊い 小芭内が一時期愈史朗くんに近かったのが笑いました。これからも楽しみにしております。(^-^) (2020年6月3日 2時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 久しぶりの投稿嬉しいです!!続きも楽しみにしてますっ! (2020年6月2日 1時) (レス) id: bbadf961a9 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - めっちゃハマりました!!続きが読みたいです!更新頑張ってくさい! (2020年5月26日 22時) (レス) id: d6f1919e89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月31日 20時