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佰参拾伍 ページ35

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小芭内side






任務帰り。俺が屋敷の門をくぐると同時に、塀を飛び越えた影が横を過ぎ去る。




小「……ん?姉様?」




風のような速さで見えなくなったその姿は、確かに昼間と同じ着流しを着たAのものだ。


あんなに慌ててどうしたんだ…?




そんなことを考えていると、またその影が凄まじい速度で近付いてきた。



俺に気付いた彼女は、俺の目の前で一度足を止める。



この瞬く間にどう着替えたのか、着流しは黒い隊服へ、美しいあの羽織へと変わっていた。


…どんな達人技だ。




『おや、小芭内か。任務お疲れ様。しっかり休むんだよ』


小「姉様こそ。ところで、何故そんなに急いでいるんだ」


『あぁ、私は今からまたお仕事でね。あまりゆっくりはしていられないんだ』


小「…昼、任務が終われば休養を取ると約束したろう」


『生憎、私の任務はまだ終わっていないんでね』


小「………………」




Aの返しに思わず顔をしかめる。



すると彼女は眉を八の字に変えて俺の頭を撫でた。




『…意地悪な言い訳をしてごめんね。暇が出来たら皆で街へ遊びに行こうか』


小「…頼むから、身体を休めてくれ………

……それに、」


『じゃ、いってくるよ』




続きを聞かず、Aはまた屋敷を飛び出て去っていった。





小「…それに俺はAと、二人で、いたいのに」





……また言えなかったな。




小「…………………」




師に、姉に、恋慕を抱くなど弟子失格だろうか。



…それはそれで構わないかもしれないな。


そうすれば俺は堂々とあの人に近づける。





小「(…………本当に、そうだろうか…?



罪人の、汚れた血の巡った俺が…?

顔に醜い傷を負ったこの俺が、はたしてあの美しいひとの隣に立っていいのだろうか………)」





シューーと、鏑丸が慰めるように頬を寄せた。



小「……あぁ、そうだな。考え事はよしておこう。思考が深みに嵌るから夜は好かん。


…行くぞ、鏑丸。今のうちに身体を存分に休めておこう。後で姉様の世話を嫌と言うほど焼かねばならないからな」






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MARE(プロフ) - 海の中で目開けでも染みませんよ。普通の水と同じです(体験談) (2021年6月26日 20時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
かん - お久しぶりでございます…!楽しみにしてました。これからも楽しみに待っております! (2020年6月7日 16時) (レス) id: b9832c7634 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごいハマってます。小芭内かわいいです/笋靴砲呂燭泙蠅泙擦鵝そしてむいくんの可愛さも尊い 小芭内が一時期愈史朗くんに近かったのが笑いました。これからも楽しみにしております。(^-^) (2020年6月3日 2時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 久しぶりの投稿嬉しいです!!続きも楽しみにしてますっ! (2020年6月2日 1時) (レス) id: bbadf961a9 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - めっちゃハマりました!!続きが読みたいです!更新頑張ってくさい! (2020年5月26日 22時) (レス) id: d6f1919e89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月31日 20時

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