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佰拾弐 ページ12

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獪岳side









獪「……なぁ、ほんとにしちまうぞ…?」





くっと顔を近づけた。規則正しい寝息は全く変わらない。



その代わり、自分の脈が大きく乱れるのを感じた。






獪「…………




……チッ…何やってんだ俺は……」






どうやら今日の俺はおかしいらしい。


こいつのせいだ、絶対に。




八つ当たりだということには気づかないふりをして、目の前の女の額を爪の先で軽く弾いた。






『…んっ……んん…?おばない……?』



獪「……違ぇ、誰がおばないだ殺すぞ」


『あれ、かいがく……』


獪「…そうだ、獪岳だよ………悪ぃな、痛かったか」


『……んん?……なにが…?』



獪「……なんでもねぇよばぁか」


『……いてっ………』




今度はさっきよりも強めに額を弾いてやった。




『……んー…獪岳、眠れないのかい?ほら、おいで』




獪「………………はぁ……」





寝惚け眼で自身の隣に場所を開けるA。


目だけじゃなく頭もボケてやがるな。




獪「……なぁ、誰にでもそんなことしてんのか」


『えぇ、違うよ……獪岳くんが疲れているように見えたから…』


獪「……………」


『疲れすぎちゃうと、逆に眠れなくなっちゃうよね……』


獪「…わかんのかよ、俺が疲れてるって」


『ふふっ、わかるよ』





徐に上半身を起こしたAが、ほら、おいで、と優しく俺の腕を引く。



抵抗できずにされるがまま布団の上に移動すると、Aは俺の頭を抱えるように抱きしめた。



そのまま片手で柔らかく頭を撫でる。





獪「…………っ…」




胸元から石鹸のような、花のような良い香りがして一瞬息をするのを戸惑った。





『眠くなるまで、こうしておこうか』



獪「……ぁ…っおい、離せ……!」





行き場のない手が宙を彷徨う。





駄目だ、この状況はまずいだろ。



わかってやってんのか、こいつは。




深夜に、男女が、同じ布団の上、なんて。







獪「………………」





だが、頭を撫でる優しい手つきが湧き上がる劣情を抑えていく。







冴えていた脳味噌が重くなってきた。






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MARE(プロフ) - 海の中で目開けでも染みませんよ。普通の水と同じです(体験談) (2021年6月26日 20時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
かん - お久しぶりでございます…!楽しみにしてました。これからも楽しみに待っております! (2020年6月7日 16時) (レス) id: b9832c7634 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごいハマってます。小芭内かわいいです/笋靴砲呂燭泙蠅泙擦鵝そしてむいくんの可愛さも尊い 小芭内が一時期愈史朗くんに近かったのが笑いました。これからも楽しみにしております。(^-^) (2020年6月3日 2時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 久しぶりの投稿嬉しいです!!続きも楽しみにしてますっ! (2020年6月2日 1時) (レス) id: bbadf961a9 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - めっちゃハマりました!!続きが読みたいです!更新頑張ってくさい! (2020年5月26日 22時) (レス) id: d6f1919e89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月31日 20時

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