箱推しなので箱ごと守ろうと思う 弐【鬼滅の刃】

玖拾壱 ページ41

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伊黒小芭内side








あの後、姉様は急いで隊服に着替え、紅蓮華の羽織を翻して雨の中を駆けて行った。








無「………Aは？」


伊「姉様は任務が入った」




食堂として使われている部屋に入り、用意されていた食事を口に入れる。




有「…俺たちの説教はどうしたんだよ」


伊「……もういい。早く食え」



有「意外だな。Aが帰ってくるまで朝餉は食べずに待つと思ってた」


伊「お前らは知らなくていい事だが、姉様は任務を早々終わらせた後、必ずと言っていいほど寄り道をする。お前らは知らなくていい事だが」





それを知った上で帰りを待っていると、帰ってきた時に姉様が申し訳なさそうな顔をしてしまうのだ。


寄り道の大体が甘味処だ。俺が気を使わせて、彼女の楽しみを奪う訳にはいかない。





無「…一言、ていうか二言余計だね」


伊「一言でも添えていないと、お前らはすぐつけあがるだろう」


有「……お前、俺達のこと嫌いすぎ」


伊「言わずもがな、だな」





……四年前は、この屋敷には俺と姉様しかいなかったのに。


食事は姉様が毎回作ってくれたんだ。俺はその手伝いをしていた。

姉様は、どんなに任務が忙しくても必ず屋敷に帰ってきてくれた。二人で厨に立ち、二人で飯を食うあの時間が俺は何よりも大切だった。





なのに、今となっては。





伊「ただでさえ能力の高さ故に隊に重宝され彼女は仕事で多忙だと言うのに、お前らや他の隊士共がここに住み着いたせいで、二人で寛ぐ時間もありゃしない」





他の人間がこの屋敷にいると考えるだけでも虫唾が走るというのに。





無「…Aのこと、大好きなんだね」


伊「何だ急に、当たり前だ。彼女を嫌いになる理由があるか？」


無「…まぁ、ないけど」





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