陸拾陸 ページ16
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昼頃になり朝よりも雨が酷くなったところで、近道を行こうということで森に入った訳ですが。
途中でちっちゃい笛拾った。可愛いなこれ。なんか端っこ欠けてるけど。
「……………おい」
『……はい?』
声が聞こえた気がしたので振り返った。
あれ?誰もいない。
ん〜、確かに気配はあるんだけどな。鬼の。
……鬼の。
『どなたかな?』
「…………それの、持ち主だ」
今度ははっきりと聞こえた。あ、あそこの木の影だな。
『(それ…?)あぁ、この笛かい?』
「…それを、どこで拾った…?」
『その前に、姿を見せておくれよ』
「……………いや、遠慮しておく…」
『あらら?じゃあこちらから行くよ?』
「…っちょっと待て…!」
『…………やぁ、こんにちは』
黒「…………………」
こここ黒死牟殿〜〜!!!!
おめめいっぱい!!お目目目目目目くらいあるね!!!!
…あっなんかめっちゃ嫌そうな顔してる…もしかして顔見られたくなかった!?えっなんかごめん……
『……いじわるしてすまなかったね、これ、返すよ』
黒「…っ、あぁ…………」
『巳の方角で拾ったんだ。君のだったんだね。
名前はなんというんだい』
黒「……黒死牟だ」
『そうかい、私はAAというんだ』
黒「………………」
『……それ、大事なものなんだろう?もう落としたらいけないよ』
黒「……あぁ…………」
なんか一方的に喋りかけてるみたいになってる…いや事実だけど。あんまり私と話したくない感じかな。
…泣くな。耐えろ私。
『…じ、じゃあ私はこれで…』
黒「………待て……」
『…ん?どうしたんだい?』
黒「………………………」
『………………………………』
ホントにどうしたんだい?????
なんで喋らんの???これ私から話しかけた方がいいやつ????
『……もしかして、黒死牟さん、傘を持っていないのかい?よく見ればびしょびしょじゃないか。
おいで、手ぬぐいを貸そう』
近くに来てくれたので傘の中に招き入れて手ぬぐいを差し出せば、黒死牟さんはちょっと屈んだ。
……拭けと?
『…………仕方ないな。ちょっと傘を持っていておくれ』
黒「……………」
わしゃわしゃわしゃと毛先の赤い黒髪を拭いた。
黒死牟さんは六つの目を気持ちよさげに瞑っている。
……なんか犬みたいで可愛いわ。
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うさぎもち - 無一郎かわええ・・・ (8月5日 16時) (レス) @page47 id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
冰輪(プロフ) - 無惨のママみがつおい……w (8月1日 0時) (レス) @page27 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最新頑張ってください応援しています (2021年5月21日 22時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
りぽE - 錆兔好き…。 なんでこんなイケメンなん??錆兔と義勇さんに攻められたらやべぇな (2020年6月10日 16時) (レス) id: 15686f771a (このIDを非表示/違反報告)
桃綺薇(プロフ) - 鯖兎に惚れた…… (2020年4月20日 18時) (レス) id: 3e7a0f8c20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月18日 22時