箱推しなので箱ごと守ろうと思う 壱【鬼滅の刃】

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"芙蓉が死んだ"






その日、訃報は瞬く間に町へ広がった。




誰も私を責めなかった。



町の皆が口を揃えてこう言った。


彼は、優しかったから、と。








＿＿「優しいだけじゃ、早死するよ」






前世の友人の言葉が重なった。





優しいから死んだのか。



優しくなければ今もまだ生きていたのか。






彼は私と同じだ。


前世で他人の為に身を滅ぼした私と。




何度思い返しても、自分の行いが無駄な事だとは思わなかった。






しかし。






彼は愚か者だ、と、その言葉が頭をよぎった。



私は非常に戸惑った。





私を一人残した彼を恨んだ。


彼を恨む私の心が理解できなくて、死にたくなった。


残された者の心を知った。


そして、前世の私の正当性を疑った。





私は、"彼のようにはなりたくない"と思った。






町の皆の優しい言葉が胸に刺さって、痛くて、


耐えきれなくて、


その日のうちに荷物をまとめて小屋を離れた。






"厳しさを持たなければ"と、焦りが私の背を押した。



死んで誰かを悲しませるような愚か者にはならないように。



彼のようにはならないように。









皮肉にも、私の紅い瞳には美しい水芙蓉が咲いていた。




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