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桜に消える ページ1

桜が風に揺られ、花弁が舞い散る
地面は桜色に染められ、幻想的な空間を生み出していた

その空間の中に一人、少女がたたずむ

「麻葉…」

悲しそうに、切なそうに紡がれた言葉

そして少女は私を見て手を伸ばす

その手を掴もうと私も手を伸ばすが、触れる直前に
少女は桜の花になって消えてしまう

ゆらりゆらりと、また地面を染めながら…





朝日が部屋に射し込み、遠くで鳥の鳴く声が聞こえる
目を開けると、見慣れた天井
ゆっくりと体を起こし、ただ、何をする訳でもなく布団に座っている
ふと、自分の頬に違和感を感じ手で触れると
少量の水滴が指先に付いた

あぁ、またか…

ため息をついて、手の甲で顔に付いたその水滴を拭い立ち上がる

いつからか、見るようになった夢
夢の中では少女と自分しかいない
桜が埋め尽くすその世界で、少女は何時も誰かの名前を呼ぶ
その名前を聞いた途端に何かを思い出すのだが、目を覚ましてしまうとそれが何だったのか思い出せなくなる
まるで泡沫の様な記憶

ただ一つだけ分かるのは、自分は…、私は誰かを探しているという事
誰だか分からない人に会いたくて、逢いたくて
寂しさが日に日に増していく
何故こんな感情になってしまうのか、それがわからなくて、不安も寂しさと共に増していくばかりだった

部屋を出て、洗面台で顔を洗う
鏡を見ると光の角度によって白銀色に見える瞳、真っ黒な長い髪
人間の瞳の色は白銀色なんてありえないはずなのに
私はその異端の色を持って生まれた
故に親から気味悪がられ、隔離されて育った

まぁ、その親は今はいないのだけれど

タオルで顔を拭き、またため息をついて近くに置いてあるコンタクトケースから黒色のカラコンを取り出して付ける
時計を見ると針は6時30分を指していた
部屋に戻り制服に着替え、長い髪を上の方で結ぶ

まだ学校に行くには早いけれど、散歩がてらゆっくり歩いて行こうと思い家を出た

ふんばりが丘からほど近い所にある平屋の一軒家に私は1人で住んでいる
辺りには田畑しか無く、すぐ近くに林がありとても静かでのどかな所だ
そして人のコエが聞こえないこの場所が、私の唯一安らげる所

しばらく歩いているうちに景色は変わり、人が多く歩いている大通りに着く
私は眉を寄せて、コエがうるさいこの場から一刻も早く離れようとほぼ走っているのと変わらないスピードで人をかわしながら学校へと向かった

転校生→



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- 私もハオ様大好きです!更新待ってます! (2020年1月27日 5時) (レス) id: 01f50daa58 (このIDを非表示/違反報告)
昏白(プロフ) - シトリン??さん» ご感想ありがとうございます!亀更新ですが気長にお待ちいただけたら嬉しいです!! (2017年8月17日 15時) (レス) id: 230f73e51a (このIDを非表示/違反報告)
シトリン??(プロフ) - はじめまして!私もハオ様好きです!!好きすぎて天に召されそう( ˙-˙ ) シャーマンキングって古いアニメなのでなかなか知ってる人いないんですよね……。ほかの小説も更新停止が多いですし……(´・ω・`) 更新待ってます!! (2017年8月3日 16時) (レス) id: e58fb472f9 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ(プロフ) - シャーマンキング好きな人がいてくれて嬉しいです!!私の周りにも全然知ってる人が居なくて(><)更新楽しみにしてます (2017年4月13日 14時) (レス) id: 0a041e38ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昏白 | 作成日時:2017年4月5日 0時

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