嘘つきな清純【雪】

35.誘われ待ち（岩本side） ページ35

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『照？』


照と呼ばれることになれてきたこの頃。
久しぶりにバイクに乗りたくて庭でメンテナンスをしてたら寝起きのAが背中をぽりぽりかきながら声をかけて来た。


岩「おそよう」
『おそよ〜、バイク？』
岩「うん、天気良いしちょっとメンテして乗ろうかなって」
『すご…』


リビングの窓を開けてあぐらをかいて座るAの姿は仕事の時の格好からは想像できないくらい違くて俺はそのギャップが結構好きだったりする。


岩「臭くない？」
『うん』




そっから10分くらい、とくに喋ることもないままただ俺が作業してるのぼーっと見ていた。



岩「…おしっ」
『でけた？』
岩「でけたっ」


おぉーってふにゃって笑いながら拍手をする姿はまるで子どもみたいで癒される。


『どこ行くの？』
岩「んー…とりあえず適当に走って途中うまいもん買って、んでベタに海でも行こうかなぁ」
『リフレッシュの旅だー、いいなぁ』


俺が立っててAは座ってるわけだから話してると必然的に上目遣いになるわけなんだけど、いいなぁって言うその表情はなんというか



岩「一緒に行く？」

『…ふふ』
岩「って俺が言うの待ってたでしょ？」
『んふふ、ちょーっと期待してたよねぇ』

岩「もー早く準備してきて」
『アイサー！』


最初から誘われ待ちしてて案の定誘えば尻尾フリフリの犬みたいでわかりやすく喜んでた。


『40秒で支度するっ』
岩「ラピュタいいから」
『いってきます！』



階段を上がってく姿を見送りながら1つ思い出して声をかけた。


岩「…あ、A」
『んー？』
岩「スカート危ないからパンツにして」
『おっけー！』


ってわかりやすく手で丸を作るAのテンションが結構高くてこっちの口角まで上がってくる。

Aといると自分めっちゃ笑ってるなぁって思うことが前よりも増えて、一緒にいるだけで楽しい時間が増えた気がする。


A自身どう思ってるのかはわからないけど君の中でこの家が楽しい場所だと思っていてくれたら嬉しいなって思う。

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