嘘つきな清純【雪】

27.距離感が似てんの（向井side） ページ27

.


Aちゃんが家に来て1ヶ月が経った。

なんとなく、なんとなくやけどなんかあったんやろうなぁってのはさっくんから感じ取ってたけど最近は穏やかで一緒におるんが当たり前になってきていた。


『こぉじぃー』
向「んー？」
『これとこれどっちがかわいい？』


リビングのソファに座ってぼーっとテレビを見ていたら横に座って携帯の画面を見せてきた。
最近よくある。洋服とか小物とか2択で悩むといつも相談に来る。


向「どれ？」
『このワンピースと…こっちの』


そんでなぁ距離がもうさっくんと一緒やねん。近いの。
腕と腕が触れてる距離。
けどやらしい感じやなくて、ちゃんと落ち着くやつ。

たぶん距離感似てんねん。ただ居心地が良い。


向「あー…待ってさっきのもっかい見せて」
『これ』
向「かわいい」
『ね。こっちはね背中のこの感じ、このっこれっ、』
向「わかるわかる、大人っぽいよな」
『そう。でもこっちのが丈感とかシルエットがタイプでねぇ、』
向「あー」


Aちゃんはしょっぴーのことは翔太って呼ぶし、気付いたらさっくんって呼んでるし、ラウもラウやし…って思って向井さんやったのをちょっとだけ強引に康二呼びに変えてもらった。

ふっかさんたちと同い年ってことは俺の2個上なわけで年上のお姉さんには俺甘やかされたいもん。尻に程よく敷かれたい。


向「…俺はこっちが好きやなぁ」
『こっち？』
向「うん。こっちのが華奢感というかシルエットがかわいい。似合うと思う」
『まじ？』
向「マジマジ」
『じゃあこっちにしよー』


そう言って俺が良いって言った方を選んでくれるんもちょっと嬉しくて、嬉しいなぁって単純に口元が緩んでまう。


そんなある日の夕方。

28.お姉ちゃんと弟（ラウールside）→←26.嵐の前の静けさなのか否か

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す