キミガシネ？...嫌に決まってんじゃん。2 (ページ48)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:21,252 hit

できることページ48

『織！』

始まるや否や、織の名前を呼んだ。

咄嗟に口を塞いだらしい織が、すこし焦った様子でこちらを向く。

焦り、恐怖、不安。

そんな瞳を俺に向ける織。

まずは、

まずは、落ち着かせることが必要だ。

『…織。』

もう一度、名前を呼ぶ。

『大丈夫。俺を信じろ。』

織「……………」

目を見開く織。

…そして、まだ冷や汗を流したままのその顔で、ひきつりながらも、ふっと笑う。

織「…おっけー。」

俺も、冷や汗が流れるのを感じながら笑い返す。

『織。まず、あの機会から1番遠い所に移動しろ。
常に口元は衣服で覆っとけ。
それと、ガラスを割ろうとは考えるな。体力をなるべく温存しろ。』

俺の指示一つ一つに、織は頷く。

しかし、その顔色は時間を増すごと青くなっていく。

当たり前だ。自分が今から死ぬかもしれないのだから。

何とか織を落ち着かせるために、俺は声をかけ続ける。

『いいか、織。これはアトラクションだ。つまり、何かしらの攻略方法がある。』

織「じゃあ、これも…！」

『あぁ。その可能性が高い。

…織。これは俺の推理だが___』

ガラス越しに、俺は織に説明した。

ノエルの言い回し。

毒ガスでは無い可能性。

このアトラクションの、攻略方法。

ソウ「…保証は？」

全て、話し終えた後。

こちらの話に耳を傾けていたらしいソウさんが、会話に入ってきた。

一回目は焦りで周りの声が聞こえていなかったが、2回目だからか周りの声が耳に入ってくる。

俺が視線をあげると、ソウさんと目が合った。

ソウさんは、難しい顔で俺の事を見ている。

ソウ「…織が本当に助かる、その保証はあるの？」

彼の目が、じっと俺を見据えている。

風呂の時とは打って変わり、厳しい色をした瞳。

疑いと、少しの嫌悪を含んだ瞳。

_僕、君のこと苦手だよ。

_奇遇っすね。俺もです。

…昨日の夜、あんな話を、したからだろうな。

『保証…は、ないです。

でも、俺が考える中で、これが一番可能性の高い攻略方法です。』

ソウ「言葉だけを根拠にした推理で、助かる可能性が高いとは思えない。
だからって何も調べないのはリスキーじゃない？」

『少しでも織の体力を温存させ、ガスを吸わせないようにする必要があります。動かせる方がリスキーです。』