犯人 ページ38
『ん?』
ケイジ「あれ。」
その日の夜。
俺がモニター室に足を運ぶと、見慣れた金髪男性が、既にそこにいた。
ケイジ「…奇遇だね。」
『ケイジさん………』
内心、少し、動揺する。
今日の夜。モニター室のミシマさんのモニターが割られた。
サブゲームで死んだ俺は、結局、あの真相を知らないまま、2週目を迎えてしまった。
ここにいれば、犯人がくる。
そう思って待っていたのに、来たのは、ケイジさん。
やっぱり、この人、だったのか?
なんて声をかけよう。
どうして、なんのために。
動揺がどんどん大きくなるのを、悟られてはいけない。
『…あ、の、ケイジさん、』
そう思って口を開いた、その時だった。
ケイジ「_!!ユキヤ君、隠れて。」
『っ……!!』
ケイジさんに促されて、俺達は、景品交換所に身を隠した。
一体なんだ…!?
そう思ってケイジさんを見れば、彼の視線はモニター室の中に向いている。
俺もつられてそちらを見れば、そこには、
『…レコさん……………………?』
ミシマAI_おや?レコさんでしたか。
レコ「…すまねぇな。少し、聞きたいことがあってな。」
レコさんとミシマさんのAIとの会話に、俺の存在がバレないよう息を止めて、耳をすませる。
黙って、全て聞いていた。
ミシマさんの、なおさんに対する思いも。
それを聞き入れたレコさんが、彼のモニターを、破壊する、その瞬間も。
俺は、黙ってただ、聞いていた。
急いで去って行くレコさんの後ろ姿を確認し、俺はふっと息をこぼす。
ケイジ「………ユキヤ君。」
『…………わかってます。』
ケイジさんが言わんとしていることを悟った俺は、彼に対してそう返した。
ケイジさんは、それ以上は何も言わず、割れたモニターの破片をみつめる。
『…………。』
集まり始める人。
2回目になる会話をぼーっと聞き流しながら、考える。
俺の知らねーとこで、こんな事が起きてたのか。
ケイジさんは、レコさんとミシマさんの意思を尊重して、ずっとそれを黙ってたんだ。
…レコさん、手、血まみれだったな。
………俺なりに、注意してたつもりだったんだけど。
握っていた拳を、開いて見つめる。
『………知った気になってだけ、か。』
94人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそありがとうございます!!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - うっわずーーーっとニヤニヤしながら読んじゃったありがとうございました。 (2021年10月24日 12時) (レス) @page43 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
アズライト@pitter(プロフ) - まぁ確かに嫌に決まっとるわな…w応援してます!w (2021年9月7日 10時) (レス) id: c4b69809d7 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - レイさん» えっへん!! (2021年8月11日 21時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クライヤ | 作成日時:2021年1月31日 7時