キミガシネ？...嫌に決まってんじゃん。2 (ページ25)

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六六ページ25

『…………は？』

織「…………っはは！あほ面すぎんでしょ。やぁい、騙されてやんのー。」

けたけたと笑う九重。
こんな空気なのにいつものようにからかわれたのかと悟った俺にはいらだちが込み上げてくる。

まじなんなのコイツうぜぇ。

分かりやすく舌打ちをすれば、九重はまたけたけたと笑った。

織「いやぁ、この空気感なら何言っても信じそうだなって思って。」

『お前の方がよっぽどクズじゃねぇか。』

織「えぇー？」

愉快そうに笑みを浮かべながら、アイツは天井を仰ぐ。
ふぅ、と、息を吐くて、アイツがまた、口を開いた。

織「今日、全然いいことなくてさ。」

声の調子は、いつもと変わらない。
しかし、横目で見れば、全く笑っていない。

本音なんだろうな、と、心の中でそれとなく察した。

織「あー、うち、こー見えてあんま家族と仲良くなくてさー。今日も散々貶されて、そんで学校来たらまたあの女花子ちゃんに嫌がらせしようとしてるし、止めようとしたらあいつからも散々言われるし。

まじだるすぎ。」

ガリっ、と、飴を噛む音が部屋に響く。

家族のこととか、そういば全く知らなかったし興味もなかったが、不仲と聞いて正直意外だった。

こいつの事だから、きっと温かい家庭でたいそう甘やかされて幸せに暮らしてきたんだろうと勝手に思っていた。

『そりゃあ散々だな。』

織「だしょー？しかも泣いてるとこ見られるし。まじだるーい。」

『それは別に俺のせいじゃねーし。つうか、別に見られても減るもんじゃねーだろ。』

織「減らなくとも嫌なもんは嫌なんだよ。泣いてるとこ見られんのも弱ってるとこ見られんのも、怖いからって困ってる人から目を背けんのも、そういう、情けなくて勇気もなくて臆病な私になんのが、1番苦痛。

…ほんとに、嫌い。」

『…………。』

ポケットからスマホを取り出した。
画面をスクロールし、山田という名前の下の電話のマークをタップする。

『あ、もしもし山田？わりい、急用出来たからゲーセンまた今度にしてくんね？

…あぁ。さんきゅーな。』

電話を切った俺はおもむろに立ち上がって九重の腕を掴んだ。

『うし、行くぞ。』

織「は？どこに。」

『え？カラオケ。』

織「…………いや、ごめん、普通に意味がわからないんだけど。」

『家、帰りたくねーんだろ？なら丁度いいや。山田を付き合わせるより罪悪感ねーし。』