キミガシネ？...嫌に決まってんじゃん。2 (ページ24)

今日:11 hit、昨日:15 hit、合計:21,262 hit

六五ページ24

織「っ、」

慌てて目元を擦る九重。

俺に背を向けて、天井を仰ぐ。

織「…ほら、さっさとして。」

相変わらず震えた声で、アイツは俺にそう言った。

俺はこいつが嫌いだ。
腹立つし、うざいし。

自分のスマホを見つけ、俺はそれをズボンのポケットに突っ込む。

自己中で、見下してて、なんも考えてないような人生の奴なんか、どうなったろうがかまわないし、知ったことじゃない。

…だけど。

『…九重。』

織「なに…………っうわっ！？」

ポケットに入ってたチュッパチャプスを、九重に投げた。
慌ててキャッチするアイツを横目に、近くの椅子に座る。

織「おまっ、…は？」

『好きだろ？ソーダ味。』

織「好き…だけ、ど。そうじゃなくて、なんで」

『休戦協定の証。』

織「休戦協定って………あのさ、私は慰めならいらないし、求めてない。同情なら早く出てってくんない？同情されて慰められる方が、私は嫌なの。」

珍しく語尾をのぼしたりだとかニヤついたりだとかのない、真面目な口調で、九重が俺を睨みつけた。プール掃除の時以来だ。

恐らく、こっちの方が素なんだろう。

俺は、自分のポケットに入っていたコーラ味のチュッパチャプスを取り出し、包装紙を剥がす。

この包装紙剥がすの、割とだるいんだよな。

『勘違いすんな。別にお前を慰めたいわけじゃなくて、俺の知的好奇心を満たすためだ。』

織「は…」

『普通に疑問だろ。なんで他人のためにお前が泣くような真似してんだよ。花子ちゃんって、あのいかにもいい子そうな子だろ？あの子が他人犠牲にしてまで幸せになろうとするような腹黒い子には見えねーし。ってことは、お前の独断行動ってわけだけど、そうする意味がわかんね。なに、お前。M？』

俺の言葉に目をぱちくりと瞬かせた後、再び顔を顰めて俺を睨んだ九重は、いつものような笑顔を作ろうとはせずその顔のままがさつに包装紙を開け口にくわえた。

織「まじお前クズだな。」

『あ゛？』

織「ま、綺麗事言われるよりかはそっちの方が楽だからいいけどね。」

九重も、俺から少し離れた所にあるイスに座る。

不良らしく足を組み、机に肘を置き、笑顔を繕う様子もなく飴を舐めている。

いつものヘラヘラした様子はどこへいったんだか。
…でもまぁ、こっちの方が、人間味があって好きだが。

織「うちさぁ。」

ふと、あいつが口を開いた。

日常会話をするように、自然に。

織「人殺しなんだ。」