キミガシネ？...嫌に決まってんじゃん。2 (ページ3)

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肆伍ページ3

両親の顔は、覚えていない。

気づけば俺は、4つ年の離れた姉と2人で暮らしていた。

俺達が小学生の時は、親戚というおばさんが生活費やら家事やらを手助けしてくれたが、俺が小4になると、中2だった姉は年齢を偽ってバイトを始めた。

姉は、顔は整ってる方だったと思う。真面目だし、明るいし、何より、優しかった。

唯一血の繋がった家族である姉、桜小路モミジは、俺の自慢だった。

モミジ「ただいま～！」

『あ、おかえり。飯できてるよ。』

モミジ「わぁ、ありがとう！いつも美味しいご飯、ありがとね、ユキヤ！」

『いや、俺の方こそ....』

モミジ「え～？なになにぃ？？あのユキヤがお礼ぃー？？」

『うっ、うるせぇな！別にいいだろ！』

モミジ「んふふふ、可愛いヤツめ！それでこそ我が弟！！」

『わっ、ちょっ、やめろって！』

富んでもいない。

両親もいない。

それでも、俺達は幸せだった。

......あの日が、来るまでは。

________

レコ「カンナ！！」

『！』

カンナちゃんの名を呼ぶ声で、はっと我に返る。
顔をあげると、レコさんが焦った顔でこちらに向かってきていた。

見てみると、さっきまで青い顔をしていたはずのカンナちゃんの目には涙がたまり、しかしその顔つきはどこか決意のこもったものだった。

レコ「...んのヤロー！へんてこ教師！見つけたなら大声で呼べっつったろ！」

ミシマ「おや、怒られてしまいましたね。」

カンナ「違うのレコさん。あのね、説明するから....あ。」

言葉の途中で、カンナちゃんが何かを思い出したようにこちらを振り返る。

カンナ「あ、あの。織さんがどこにいるか、知りませんか？」

サラ「織？いや、すまない。ソウさんと一緒にいるとは思うんだが、私達もどこにいるかは知らないんだ。」

カンナ「そう、ですか。」

ジョー「なんか、アイツに用でもあったのか？」

カンナ「あ、えっと、その。」

『....そのパーカー。アイツのだろ？』

俺がそう言うと、カンナちゃんとばっと目が合う。
反応からしても、やはり間違いないようだ。

ジョー「そういえば...赤いパーカー着てたな！」

サラ「でも、どうしてカンナが織のパーカーを？」

『さしずめ、アイツが気を失ってるカンナちゃんにかけたんだろ。暑くね？とかなんとか言って。』

レコ「まさにそのとおりだ...！な、なんでわかったんだよ！！」

はぁ、とため息がもれた。

そして、笑みがこぼれる。

『そーゆー奴なんすよ、あの馬鹿。』