六二 ページ20
ジョー「…なぁ、サラ。
ケイジさんのこと、少し探ってくれないか?」
サラ「え…」
何をしようか。探索?それとも…あー、どうしようかな。と悩みながら、別に大した理由がある訳でもなく俺がバーの入口に足を踏み入れた時だった。
そんな会話が、俺の耳に入ってきたのは。
俺が来るなんて思ってなかっただろう2人は、あっ、という顔をした俺を見る。
これはこれは…随分面白いところに居合わせてしまったようで………。
ジョー「ユキヤ…」
ジョーは、視線を泳がせる。さっき、織の事であまりいい態度をとらなかったこととか、まぁ、色々あって、こいつも気持ちが定まっていないんだろう。
しかし、ケイジさんを探る………か。
ジョーの口からそんな言葉が出るなんて思いもしなかったけれど……確かに、つかめない人ではある。
ちらりとちどういんを見ると、彼女も同じく動揺しているようだった。
まあ、人が死んだ後で、親友から、頼れる大人を疑ってほしい、なんて言われれば無理もないか。
…………それならば。
『…なぁ、それ、俺が引き受けてもいいか?』
ジョー「…え?」
『ケイジさんの事。…まー、俺も信用できねぇ、ってんなら無理にとは言わないけどさ。こんな状況だし。』
ジョー「あぁ…いや、別にお前はそんなに疑ってない、し、受けてくれるならありがたいけど……
…その、でもなんでだよ。お前、ケイジさんとも仲良いし…それに、俺…九重の事も……なんか、あんまり、良く思えないし……」
『………』
気になるなら、利用してしまえばいいと言うのに。
そんな事を思ってしまう。
織の事、どう思ってるかなんて馬鹿正直に話せば俺がジョーに対してよく思わない可能性もあるだろう。
…それだというのに。
ふっ、と、笑みがこぼれた。
どかりとジョーの隣に腰掛けて、机に背中をあずける。
『俺は、俺の知的好奇心に従順なだけだってーの。
それに、アイツの事だって、まあ、さっきの状況じゃ、そう思っちまうのは仕方ねーんじゃねーの?』
ジョー「っ、お前、どうしてそんなに平然としてるんだよ!だって、自分の大切な人が、人を…!!」
『それは違う。』
声を荒らげ、取り乱すジョーの言葉を、俺は遮った。
…いや、少し語弊があるかもしれない。
気持ちよりも先に、言葉が前に出たんだ。
俺は、じっとジョーの目を見る。
『アイツは、絶対にそんな事しない。』
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クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそありがとうございます!!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - うっわずーーーっとニヤニヤしながら読んじゃったありがとうございました。 (2021年10月24日 12時) (レス) @page43 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
アズライト@pitter(プロフ) - まぁ確かに嫌に決まっとるわな…w応援してます!w (2021年9月7日 10時) (レス) id: c4b69809d7 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - レイさん» えっへん!! (2021年8月11日 21時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2021年1月31日 7時