肆肆 ページ2
カンナ「どうしても....聞きたくて来たんです。...お姉ちゃんの事。」
あいかわらず怯えた様子で、彼女は言葉を紡いでいく。
お姉ちゃんの事。
その一言で、どうしてカンナちゃんが俺らを尋ねてきたのかを察してしまった。
ドキッ、と、心臓が大きく脈打つ。
カンナ「お願いします。...教えてください。カンナはあの時、本当はお姉ちゃんを救えるはず、だったんですか?」
『....』
カンナ「混乱してて、みんなのお話聞いてなかったんです。でも、サラさんやジョーさん、ミシマさんやナオさん....織さんやユキヤさんは、同じ試練だったんですよね?
カンナは...カンナはお姉ちゃんを救えたんですか?」
青い顔をして、それでもまっすぐと俺達の目を見据えてくる目の前の小さな少女の姿。それが、自分の心をざわつかせた。
ぐうっと、心を引っ張られるみたいに苦しくなる。
別に、木津池カンナという少女に同情しているからでは無い。俺はそこまで良い奴じゃないという自覚はある。
本当は姉を救えたのではないか、
自分が姉を殺したんだ
そんな考えに首を絞められている姿が、いつかの......自分に、重なってみえたからだ。
千堂院が、なにか言おうと口を開きかけた。
が、それは、別の声に遮られる。
ミシマ「おやおやカンナさん。レコさん達が探してましたよ?」
カンナ「..あ....」
ミシマ「会話が聞こえていたので来てしまいました。」
カンナ「...ミシマさん。教えてください、私は...」
答えを聞こうと縋るカンナちゃんに、ミシマさんはうん、と顎に手を当てる。
ミシマ「カンナさんは、不運でした。」
カンナ「え、」
ミシマ「あの時、ひとつの鍵しかなかった我々は、
力づくでもうひとつの拘束を解くしか無かったのです。」
カンナ「!」
胸が、苦しくなった。
実際試練をクリアした俺達には、わかる。
あれは鍵をヤスリにかけてもうひとつの拘束を解いた。
力づくで、なんてのは、真っ赤な嘘だ。
彼女を、守ろうとする、優しい嘘だ。
優しい...嘘。
__お前さえ、お前さえいなければ!!!!
ミシマ「幸い、ナオさんには私が、サラさんにはジョーくんが、織さんにはユキヤくんが居ました。」
............しい。
ミシマ「男性の力を持ってして、ギリギリ解除できたんです。」
......やま、しい。
カンナ「そ、そんな、嘘ですそんなの!」
ジョー「嘘じゃねえって!かんな、これはホントの事だ!」
.....羨ま、しいな。
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クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそありがとうございます!!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます!!! (2021年10月31日 23時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - うっわずーーーっとニヤニヤしながら読んじゃったありがとうございました。 (2021年10月24日 12時) (レス) @page43 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
アズライト@pitter(プロフ) - まぁ確かに嫌に決まっとるわな…w応援してます!w (2021年9月7日 10時) (レス) id: c4b69809d7 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - レイさん» えっへん!! (2021年8月11日 21時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2021年1月31日 7時