ごーまるまる ページ50
『…………』
ミドリ「…はぁ…はぁ……」
静まる会場。
ミドリの声だけが、聞こえてくる。
ミドリ「あはは………
あはははは………………
あっはっはっはっ！！！」
笑い声。
オリは、ただ静かに貫かれた棺を見つめ、呟く。
『……………ごめん、なさい。』
.
.
…………そして。
『…………ありがとう、ございます…!！』
目に涙を溜め、今にも泣きそうなまま、彼女は、優しい笑みを浮かべた。
ギン「何がそんなにおかしいニャン。」
ミドリの高笑い。
それを遮った、小さな少年の声が、全てを物語る。
ミドリ「…はぁっ……!？」
ギン「お前なんか大っ嫌いだワン！！」
サラ「ギン……!!」
ソウ「やれやれ……!」
キサラギ「やった………やったんやな………!!!」
ギンは、生き残ったのだ。
ギン「おまわりさんは……どうなったニャン？」
感動の声を上げる中、ギンが眉を下げる。
サラ「…え？」
ギン「ぼくじゃない方の青い棺…お巡りさんの棺でしょ………!？
中に、おまわりさんがいたんじゃないニャン！？」
確かにギンの命が助かった。
………しかし、じゃあ、貫かれた棺の中は、一体誰がいたのか。
あの棺は、ケイジが入っていたはずの棺だ。
ギンは無事であった。という事は…
…………あの中には？
サラ(ケイジさんが、あの中に……？)
………1歩。
サラ(そうか、ミドリの首輪を使ってないなら…
あの中にいるとしか考えられない。)
…また、1歩。
サラ(…でも、脱出したんじゃないのか？
まさか、脱出した後にまた入ったのか？)
振り返るオリ。
サラ(私が気絶している間に………)
彼女は何かをみつけ、涙を拭いながらもふと、口角を上げる。
サラ(ずっと無言で……
ミドリを…………
欺く………為に__________)
ぽんっ
サラの肩に、大きな手が乗る。
ケイジ「頑張ったねー……サラちゃん。」
聞き覚えのある声。
サラ「………
……………ケイジ、さん？」
ケイジは、いつものように笑みを浮かべた。
ケイジ「久しぶりだね、みんな。」
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2023年11月2日 22時
