よんきゅうきゅう ページ49
ミドリの動揺の色は、より一層深まる。
ミドリ「っ！うるさいなぁさっきから！！おもちゃの分際でベラベラベラベラ口答えしてきて…!
お前は僕の言うことを怯えながら聞いてればいいんだよ！！！」
怒鳴り散らすミドリ。
珍しく感情を露わにするミドリとは対極的に、オリは取り乱すことも無く、ただ静かに、ミドリを見つめる。
怯える様子もない。
静かで、ただまっすぐなその赤い瞳に、今まで怯むことなどなかったのに。
今動揺しているのは、紛れもなく、オリではなくミドリの方だ。
彼女は、冷たい瞳をミドリに向けて、
そしてゆっくり、口を開いた。
『手のひらの上は、どっちなんだろうね？
…教えてよ、ねぇ、ヒヨリさん。』
ミドリ「っ・・・！！！」
ほんの一瞬、ひゅっと喉がなる。
血は繋がっていないはずなのに彼女の姿にある男を思い出したミドリは、余計に取り乱した様子で叫んだ。
ミドリ「全部、違うって言うのか？
だったら、誰が入ってる、
ギンだけはありえない、絶対に、ぜっ、たい、に…」
『…さぁ、選んでくださいよ。
生き残るのか、
それとも、ここで死ぬか。』
ミドリ「っ、うう、ううううう……!」
彼のひたいから流れる汗。
苦しげな表情。
漏れ出る声。
いくらそうしたところで、彼を支える仲間など、いない。
ミドリ「選んでやるよ！！アルジー、僕がヒットする棺は…!」
ガチャり、ガチャりと、台の回る音。
アルジー「そうかい…これね。」
アルジーが、ミドリの選んだ棺の前まで歩み。
そしてそのボタンを・・・・
・・・・・・押した。
ギン「サラ姉ちゃん…
やっぱり僕………
怖いよぉ……!」
ぎゅいいいん…
ドリルの回る、音が響く。
それはとても、無慈悲で、無機質で。
ぐしゃり
そんな、大きな大きなそのドリルは、棺を………
…貫いた。
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2023年11月2日 22時
