よんななろく ページ26
ギン「オリ姉ちゃんは、ダメワン。」
『ギン君…』
驚いた表情をするオリ。ギンは、そんな彼女の前にとてとてっと回り込み、そうして真剣な瞳を彼女に向ける。
ギン「…オリ姉ちゃん、覚えてるかワン？
最初の頃、僕が格子に閉じ込められそうだった時、オリ姉ちゃんが助けてくれたワン。
サブゲームの時も、オリ姉ちゃんがコインをくれたわん。
………オリ姉ちゃんは、今までいっぱい、僕達を助けてくれたワン。」
そこまで聞いて、オリはその表情を真剣なものに変えた。
ギンと目線を合わせるようにしゃがみ、まっすぐ彼の瞳を見る。
ギンは、言葉を続ける。
ギン「…僕はいっつも、守られてきたにゃん。みんな優しいから、こういう時も絶対僕を選んだりしないわん。
…でもね、もしそれで僕だけ生き残ったら、きっと後悔するわん。自分が重荷だったんだって。
だから、オリ姉ちゃん。僕にやらせて欲しいわん。
僕がいたから、助かった人がいるって、そう思いたいにゃん。」
レコ「なっ！！」
Q太郎「何を言ってるかじゃ！！」
驚愕の声や、ギンを引き留める声。
周りのそんな声を聴きながら、２人は真剣に互いの目を見合う。
『…ほんとに、死ぬかもしれないよ。』
ギン「…わかってるわん。」
『…そっか。
…うん、わかった。』
オリは、そう言って立ち上がった。
彼女は笑うでもなく、その真剣な表情のまま、再びギンを見る。
『任せるね、ギン君。』
それは、慰めや気休めではなかった。
子供のわがままを聞く、なんてそぶりは一切ない。
ただ一人の仲間から、ただ一人の仲間へ向けた、信頼の言葉だ。
そんな彼女に、ギンは大きくうなづく。
ギン「うん。ありがとう、オリ姉ちゃん。」
サラ「ギンっ…！！」
ギンが棺に向けて駆けていく。
ギンが入った棺は、ミドリの時と同様音を立てて閉まり、そうして闇の中へと消えていった。
アルジー「…さぁ進みな。いよいよ始まるぜ。」
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2023年11月2日 22時
