よんろくはち ページ18
ソウ「…落ち着くんだ。」
慌てふためく彼ら。
無理もない。明らかに異常。
混乱するのも、当然といえば当然だった。
しかし、それを諌める声が、鼓膜をふるわせる。
ソウ「どんなに見た目が変わっても中身は同じ。電池を消耗させれば動かなくなる。
つまり、消費電力の高い行動をさせればすぐに電池切れになるはずさ。」
『電池………か。』
サラ「………わかりました。
やりましょう、皆さん。」
サラが、決意を決める。
その場の全員が、彼女の決意に答えるよう、頷いた。
画面に映し出されているのは、５人。
ミシマ、ノエル、メイプル、ソウ。
そして・・・・ユキヤ。
『…。』
高い電力を消費させるためには、それぞれの性格を見極め、より電気を使うような対応をする必要がある。
各々がそれぞれアイディアを出しながらメイプルからの攻撃をかわす中、オリがサラの隣に来た時、サラがオリの肩を掴んだ。
『どうしたの？』
サラ「…ユキヤのAIに、ついてなんだが。」
サラのその言葉に、オリは察したように「あぁ、」とこぼす。
サラ「オリにだけ、攻撃をしようとしていないんだ。…だから、オリ。」
そこで、迷った表情を見せるサラ。
オリにとって、ユキヤがどれほど大きい存在だったか知っている。
だからこそ、これを頼んだ時、また彼女を傷つけてしまうんじゃないかとためらってしまっているのだ。
今、彼女に頼もうとしていることは、それぐらいひどいことだ。
そんなサラの背中を、オリがぽんと叩いた。
サラが顔を向ければ、オリはサラの一歩前に出て、メイプルへ向かって歩き出している。
『了解、任せて。』
オリは、背後にいるサラにそう返すと、ユキヤが映し出されるディスプレイのもとへ歩き出した。
『よ。』
ユキヤAI「オリか。なんだ、今度はお前が相手か？」
『そうだよ。お前の相手なんて、私しかできないでしょ。』
その言葉に、ディスプレイの中のユキヤが悲しそうな顔をする。
ユキヤAI「俺は、お前を傷つけるなんて、できねーよ。」
『・・・。』
一瞬だけ、オリが動きを止める。
『…そっか。』
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2023年11月2日 22時
