〈remake〉キミガシネ？嫌に決まっとるやん。１０ (ページ15)

今日:22 hit、昨日:32 hit、合計:4,608 hit

よんろくごページ15

後を追うように歩き出したオリは、ソウの方を振り返り、赤いパーカーをひらりと揺らした。

『ソウさん。』

オリとソウの目が合う。
今まで、幾度彼女と視線を交えてきただろう。

目が合うたびに、笑ったり、泣いたり、いろんな表情のオリを見てきた。

そして、それは、今も。

『行こう。』

そう言って、彼女はソウの手を引いた。

赤いパーカーが揺れる。
ソウの瞳に、彼女の笑顔が映る。

今までいろんな彼女の表情を見てきた。
作った笑顔や、泣きそうな顔、困った顔。

誰よりも優しくて誰よりも弱い彼女を見る度、ほっておけなくて、何度その手を引いてきただろう。

今まで手を引いてきた彼女。その彼女が、今度は自分の手を引いている。

今まで一緒にいたのだから、彼女のなかで何かが変わったんだろうということはすぐにわかった。
彼女が前を向こうとしている。強くなっている。それは、喜ぶべきこと…それなのに。

ソウ「…うん。」

それなのにどこか、彼女との距離が、遠くなったように感じた。

Q太郎「よし…みんな、覚悟はいいぜよ？」

墓地に、人が揃った。

その場全員の顔を見渡し、Q太郎が口を開く。

サラ「やっぱり…ランマルとケイジさんをみつけた方が…」

マイ「時間が無いの！ミドリは今、メイプルちゃんの修理をしてる。

早くしないと、修理が終わって……!!」

ミドリ「とっくに終わってるよ！」

入口の方から聞こえてきた声に、その場の緊張感が増した。
全員が警戒をあらわにし、一斉に声のした方を見る。

いつもいつも、彼が現れるのはオリたちにとって最悪のタイミングだ。

ミドリ「間に合ってよかったー！！」

視線の先。入口のところには、相変わらず飄々とした態度のミドリがこちらに向かって歩いてきていた。

Q太郎「ミドリ…！！どこまでしつこいぜよ！！」

ミドリ「いまにはじまったことじゃないでしょ！」

ギン「ほんとだわん！何年も前から・・！！」

ミドリ「あ！嬉しいなぁ！ついに思い出してくれたんだ！！
僕の献身、君たちの願いをすべてをかなえた努力を！！

レコさんにはアリスとの再会の機会を与えたし、
Q太郎には、大好きな野球をやれる体を与えたね！」

そして、と言葉を区切ったミドリは、特段楽しそうな笑みを浮かべた。
そうして彼は、ぐわんっとその顔をオリに向ける。