よんろくさん ページ13
サラは、思わず面食らったように目をぱちぱちとさせる。
彼女は常に笑っている。…が、その笑顔はいつもどこか人工的だった。
計算された作り笑顔。はりつけたような笑み。
ユキヤやメインゲームのこともあり、彼女が意識して笑っているということは、うすうす気づいてはいた。
＿でも、今彼女がサラに向けている笑みからは、そんな感じがしない。
それは、年相応の、屈託のない、いたずらっ子のような笑みで。
サラ｢・・・、」
『えっ・・・何、どうかした？』
サラ「あ……いや、なんでも、ない。
というか、IDカードは…!!!」
ゴソゴソとIDカードがあったはずの場所を探るサラ。
しかし、IDカードは見る影もない。
マイ「………しょうがないよ。
でもほら！Q太郎さんとも会えたし落ち込まないで！」
サラ「…じゃあケイジさんは…？」
ギン「それが、どこにもいなかったにゃん！」
ハヤサカ「残念ながら、君が1人で教室で倒れているところを見つけただけだ。」
サラ「………」
沈黙。
ケイジの生死が、またあやふやになった。
不安、期待…ぐちゃぐちゃの感情を胸に抱くサラ。
そんな彼女の様子を察してか、レコがサラに声をかける。
レコ「でもよ！すごいことがわかったんだ！
ウタゲ…!このゲームをクリアしてダミーズ達と生きて進む方法だ……!!」
サラ「宴…？」
ギン「全部筋肉ゴリラが知ってるにゃん！」
Q太郎「まあだから全員で集まりたいんだが…」
『ランマル君が呼んでくるって話だったけど…』
ヒナコ「ここにいたんだ。」
姿を現したのは、ランマルではなくひなこ。
みんなを見つけるやいなや、ゆっくり歩み寄ってくる。
ヒナコ「おはようサラ先輩。さっさと話聞かせてよ。」
Q太郎「ランマルは一緒じゃねえぜよ？」
ハヤサカ「それにクルマダ君の姿が見当たらないが…」
クルマダ「………呼んだか？」
聞き覚えのある声に、誰もが振り返る。
そこには、相変わらず胴体に穴を開けたクルマダが、壁によりかかってたっていた。
キサラギ「クルマダ！」
『クルマダさん…!』
キサラギとオリが、クルマダにすぐさま駆け寄り、肩を貸す。
クルマダ「なんだ黒パン…元気そうじゃねえか。」
『黒パン言うな…というか、こっちにセリフなんですけど。』
クルマダ「はっ…どっかの世話焼きのせいでな。」
キサラギ「えー、誰のことやろなぁ。」
ちっ、と舌打ちをするクルマダに、キサラギは「なはは」と笑った。
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2023年11月2日 22時
