〈remake〉キミガシネ？嫌に決まっとるやん。１０ (ページ1)

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よんごーいちページ1

画面越しに、1人の女子高生を見た。

彼女によって変えられた人を見た。

絶望の中で、辛かろうが苦しかろうが、偽りの勇気であろうが、それでも前に進もうとする姿を見た。

どうして、そんなに頑張れるん。

諦めればええのに。

やめてしまえばええのに。

画面の向こうの、会ったこともないのにそいつが、偽善をふりかざしているようで、嫌いだった。

余計自分が惨めに見えて、憎らしかった。

…けど、実際会ってみたら、どうだろう。

自分が思っていた彼女とは、まるで違っていた。

この中の誰よりも、彼女は弱かった。

劣等感を抱えていて、罪の意識にとらわれていて、自分のことが、大っ嫌いだという顔をして。

嫌悪が、憧れへ。

憎しみが、救いたいという気持ちへ。

変わって、しまった。

俺も、そうなりたいと、思ってしまった。

俺が、助けてやりたいと、思ってしまった。

死んだ事を、後悔、してしまった。

…こんな、気持ちになるなら、いっそ。

お前になんか、会わなければ、よかった。

キサラギ「…………せやからな。ヒヨリソウ。

死ぬ前に、後悔なんてしたらあかんで。

あいつの事を思いやってなのはわかっとる。

せやけど、言いたいことは、言いたいうちに言っておけ。

まだ、生きとるんやから。」

ソウ「………。」

少しの、沈黙の後。

ソウ「…オリは、さ。

みんなを助けようとするんだよ。」

ソウが、ぽつりと、話始める。

ちらりとソウを見れば、彼は本をぼんやり眺めていた。

ソウ「あの子は多分、罪の意識でひとをたすけてるんだって言うと思うけれど。

…それでも僕は、みんなを守りたいっていう考えが、彼女の根本にあるんだと感じる。

…僕はさ。そんな彼女の博愛が、自分だけに向いたらって、思うけど。

…でも、それと同時に、彼女のそういうところに惹かれたんだろうなとも、思ったんだ。」

キサラギ「・・・。

わからんやん。たしかにあいつはみんなを守ろうとしてるかもしれへんけど、それでもオリがお前のこと好きな可能性は、消えへんやろ。」

実際。

オリにソウへの好意について聞いた時、彼女は確かに動揺していた。

アイツはうまく笑えていたつもりだったんだろうが、あの時の彼女の表情には、たしかな好意と＿＿＿遠慮が、混じっていた。