怒声 ページ18
『はぁっ、はぁっ…。』
家を出てから、数十分ぐらいが経っただろうか。
息を整えながら、俺は目的地であった事務所を見上げた。
ありがちな２階建ての事務所だ。事務所の側面には階段が伸びており、二階につながっている。
姉さんがここにいる可能性は十分高いが、確証はない。
かといって、もたもたもしてらんねぇしな…。
もう一度事務所をよく観察する。
一階はすでにシャッターが閉まっており、入れそうなところはない。
…そういえば九重が車を見たって言ってたし、車庫なのかもしれない。
二階を見上げれば、窓の奥が明るいから人がいるのは明確だ。
おまけに、窓には事務所の名前が掲げられているから場所を間違えているということはないな。
店で暴れるような連中だ。焦る気持ちに任せて考えなしに突っ込んだら相手を逆上させてしまうかもしれないから得策じゃない。
…とりあえず、気づかれないように階段を上って、聞き耳を立ててみるか。
行動の方針を固めたところで、俺は一歩踏み出す。
…その時だった。
がしゃん！！！
「金を借りてる分際で口答えすんじゃねぇ！！」
何かが割れる音と、男の怒声。
それはまさに目の前の事務所の二階から響いてきたものだ。
まさか、姉さんの身に何か＿
そんなものを聞いてしまえば、慎重に様子を確認しようという気も一瞬で消え失せる。
階段を駆け上がった俺は、乱暴に事務所の扉を開いた。
『姉さん！！』
モミジ「！？ユキヤ…！？」
事務所に飛び込んで早々、男に胸ぐらをつかまれている姉さんと目があった。
＿この男…！
カッと、頭に血が上る。
『てめぇっ…！！』
怒りに任せ、俺は握りしめたこぶしを振り上げた。
男の鋭い目が、俺を捉える。
かまうか、そんなの。
そのきたねえ手で姉さんを掴んでじゃねぇ…！！
モミジ「やめなさい！」
『っ！』
すんでのところで、手を止めた。
驚いて姉さんを見た俺を、姉さんはじっと見据えている。
それは何かを我慢しているようにも見えた、ひどく真剣な目だった。
俺が殴りかかろうとしたことで男の手が緩んだらしい。
姉さんは男の手から抜け出すと、まるで俺を庇うかのように男と俺の間に立った。
モミジ「…お金は、必ず用意します。先日紹介していただいた仕事もやります。なので…。」
姉さんは、なぜかそこで言葉を切った。
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レイ - 久しぶりに来てまとめて読んだ…大号泣 (6月17日 23時) (
レス) @page41 id: 818b5c433d (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗｲﾔ(プロフ) - みょんさん» ありがとうございます……！！！わぁぁ、そう言って頂けるとめちゃんこ嬉しいっす…これからも更新頑張ります！ (2023年3月7日 12時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - ユキヤくんの過去が可哀想すぎる…でもすごく面白いです。感無量です…。ワクワク、ドキドキしながら読ませて頂いてます！更新楽しみに待っています！頑張ってください！ (2023年3月5日 19時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗｲﾔ(プロフ) - ハンカチモンスターさん» ありがとうございます！！！待っとってくださーい！ (2023年1月25日 10時) (レス) id: 2c9f59a9da (このIDを非表示/違反報告)
ハンカチモンスター(プロフ) - え、めちゃくちゃ気になります！更新待ってます！ (2023年1月24日 19時) (レス) id: dd4a83489c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｸﾗｲﾔ | 作成日時：2022年5月5日 15時
