Lxxxii ページ43
私が目を覚まして2日経った。
コンコンコン
ドアをノックする。
中からは、はぁいと優しい声が返事をした。
「あら、ツヅミ!」
『…おはよう、母さん。』
私の姿を見るなり、母は嬉しそうに顔をほころばせた。
依然として病室のベッドで点滴に繋がれてるが、顔色を見るにだいぶ元気そうで安心する。
「おはよう。今日は早いのね。」
『あぁ。最近また新しい友人ができてね。この後、彼と会う予定があるんだ。』
「あら、そうなのね。来てくれるだけで母さん嬉しいわ。
…ねぇ、もしかしてその彼って、あなたの恋人?」
『あはは、最近知り合ったばかりだよ?そんなわけないだろう。
でもまぁ、父さんと母さんみたいな仲のいい夫婦には憧れるよ。
相思相愛ってね。』
「ふふふ、照れちゃうわ。
…でも、そっか。新しいお友達ができたのね。
ツヅミは昔から、お友達作るの上手だったものね。
…そんな貴方が、母さんの誇りよ。」
『…………………そっ、か。なら、良かった。
自分はただ、みんなと仲良くなりたいだけだよ。』
その後、10分程母と会話を交わす。
ニコニコ笑う母と話すその時間は、ここ最近の真っ赤なゲームのせいで感じることのなかった幸福が、確かにあった。
『それじゃあ、また来るよ。』
「えぇ。」
階段を降り、病院内のカフェに立寄る。
『やぁ、何飲んでるんだい?』
自分の頼んだカフェラテを手に、待たせていた相手の正面に腰かけた。
ユキナリ「…コーヒー。」
笑顔を向けて挨拶をしたと言うのに、何故か若干引いた顔をされ答えられる。
『母さんが入院してる病院だって言っただろう?顔だって覚えられてるし、ここでは自分はツヅミだからね。』
ユキナリ「…わかってるって。ところで、このコーヒーに毒とか入ってないよね。」
『つくづく失礼だね。』
まぁ、今日も今日とてツヅミ探しの旅に出る予定だ。
だからこそ彼をここに連れてきた訳だが。
ユキナリ「…お母さん、どうだった?」
『元気そうだったよ。お母さんが笑ってるのを見ると、こっちまで嬉しくなる。』
ユキナリ「………君の両親はさ。君を、ツヅミさんだって思ってるんだよね。」
少し声を潜めて、霜月君が尋ねた。
『…そうだよ。』
ユキナリ「………それはさ。君は構わないって言ってたけど、本当はど__」
「ツヅミ?」
霜月君の言葉を全て聞く前に、
自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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クライヤ(プロフ) - 白井ゆりさん» そう言っていただけると嬉しいです!!これからも続き更新してきますので楽しみにしててください!! (2022年3月23日 6時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
白井ゆり - かなり続きが気になります‼︎ 続き書くの頑張ってください‼︎ 待ってます‼︎ (2022年3月23日 1時) (レス) @page36 id: fb320e0723 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!!喜んでいただけているようで嬉しい限りです!!!!これからも更新頑張っていきます!! (2022年3月20日 11時) (レス) @page19 id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - 続編ありがとうございます!占ツクログインしよっかな...ログインしたら間違いなく一番にお気に入り作者に入れます!!!!いつも面白い作品ありがとうございます!応援してます! (2022年3月19日 18時) (レス) @page11 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - 青いGさん» ありがとうございます!!!そう言って頂けると嬉しいです!!いつも読んでくださり感謝の極みです!!!これからも更新頑張ります!!! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2022年3月19日 4時