羊というよりヤギですね2

Lx ページ19

リツ「おいおいどういう状況だよ！」


はっと我に返る。

騒ぎを聞きつけて、全員が教室に集まってきたようだ。




依然として、ごめんなさい、仕方なかったと言いながらうずくまっているミサキさん。
彼女の顔や服には、返り血がべっとりと付着している。

倒れた机のせいで近づけないが、あの出血量で生きているわけがない。




今回の狼は、森ミサキ。そしてその被害者が、北星ツヅミ。




…というのは、もう明確だろう。



リンタロウ「たまたま教室を覗いたら、ミサキちゃんがツヅミちゃんを刺した瞬間を目撃しちゃってさ。

見られて焦ったんだろうね。机を倒したりして抵抗してたけど、結局僕が勝っちゃった。」


チエ「ミサキちゃん、あなたとは友達となれると思ったのに…」


殺人を犯したミサキさんを非難する人が数名。


一方で、血だまりに横たわるツヅミを眺める者も数名。




リツ「死ぬ時は案外呆気なかったな。」

コウ「…ふん。とんだ期待はずれだ。」

リツ「まぁ、1番怪しいヤツが最後まで生き残るなんてのはゲームだけの話だよな。

何かやるんじゃねーかって思ってたけど、実際現実は、けっこうあっさり死ぬもんなんじゃねーの。

勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になってるのはこっちだろ。」


ちらりと、隣に並ぶリツを見る。


リツも、ツヅミをぼんやり眺めているようだった。


コウ「…よく喋るな。」

リツ「…多分お前と同じこと考えてたからな。こんなとこで死ぬのかよ、つまんねーのって。」

コウ「でもまぁ、これで厄介な奴が消えたことにも変わりない。
俺が生き残る確率がぐんと上がったわけだな。」

リツ「うーわ薄情ー。」










メリー「おや、現行犯で見つかってしまったのですか！？」


メリーが、またいつものようにどこからともなく姿を現した。


コウ「あぁ、こいつが今回の狼で確定だ。もう狼裁判の必要も無いだろう？」

リツ「見事な現行犯だからなー。ドンマイ！ミサキちゃん！」


それにしても、馬鹿な女だ。


犯行現場を見られるミサキさんも。




そんな間抜けな狼に殺される、ツヅミも。



メリー「まぁ、そうですね…
じゃあみなさん！突然ですがここで簡易的な狼裁判を開始します！

今回の狼はミサキさんということでよろしいですか？」


異議を唱える者は、誰もいない。





こうして、4回目の狼ゲームは、こうもあっけなく幕を閉じたのである。

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