羊というよりヤギですね2

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リンタロウ「ひょっとして、それが目的だったんじゃない？」


今までの話を聞いていたリンタロウ君が、口を開く。

みんなの視線が集まったところで、彼はにやりと笑った。



リンタロウ「犯行時間を勘違いさせるために、彼に火をつけたんだよ。」

チエ「さっきのツヅミちゃんの話から考えると、オサムさんが殺されたのは、3時じゃなかったってことですか？」

リンタロウ「そうそう。あくまで仮説なんだけど、オサムさんは燃やされるだいぶ前に殺されたんじゃないかな。それで、深夜3時頃にアリバイを作ることで容疑者から外れたかったとか？」


『なるほど…となると、先程確認したアリバイはあてにならないね？』



よしよし、いい流れになってきた。


これで、2分の1になっていた犯人候補がまた1に戻ったのは大きい進歩だといえよう。


コウ「じゃあ、実際にオサムさんはいつ殺されたんだろう？」



さて、ここであの時計を出せば、死亡時刻は確定する。



…………が。





『ふむ…手がかりはないわけだから、目撃証言が頼りになるね。昨日の夜、彼を見かけた人はいないのかい？』




確実な証拠があるからこそ活きる嘘というものがある事を、よく知っているのである。





リツ「ワタシは昨日、23時過ぎにオサムさんを見たぞ。チエも一緒だったから証人もいるし。」

チエ「そ、そういえば見ました…」

コウ「ふむ、ということは、23時まではオサムさんは生きていたと言えるな。他には？」


例えばここで、12時以降にオサムさんを見たという証言が出たらどうだろう。

手がかりがない状況下、オサムさんの死亡推定時刻はまんまと誤魔化せてしまうわけである。



マキ「あ、そういえば、私は夜中の1時頃にオサムさんがトイレに行ってるのを見かけたけど…」





そう、こんな風に。

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