羊というよりヤギですね2

Lxiv ページ23

ミサキ「それなのに5年前、その広いコミュニティを利用して、ユウヤや私達家族の、記者が調べきれない家庭環境だとか、昔の話だとか、学校の事とか、そういった情報を売買した。

…記者とか、ネットの人との交渉も、上手かったんだろうね。
そのおかげでどれくらい稼いだのかは大体予想できるよ。


でもそのせいで、売られた側はプライバシーなんてなくて、

私達家族は、どこに行っても格好の的で、

そうやって、ずっと、逃げる毎日に苦しめられてきた。」





言葉に熱がこもる。


どれだけ彼女が苦しみ、辛い思いをしてきたのか、その声音に全て詰まっていた気がした。









…それだというのに。





『…それじゃあ、私からも聞こうか。

そうやって君たちを苦しめてきた彼らは、この狼ゲームで殺され、そして残った数名の参加者も、依然として殺し合いを続けている。





…………じゃあ、どうして私は、君に殺されたフリまでして


こうして、生きているんだろうね？』






だというのに、ツヅミは、苦しむ彼女をどうとも思っていないように、





気にかける様子も、







同情する素振りも見せず、













ニンマリ笑って、そう言ってのけたのだった。









ミサキ「…………」




別に、優しい言葉をかけてもらえるだなんて思っていたわけじゃない。






…それでも、腹が立つ。






笑っているこの女に、どうしようもなく腹が立つ。








…なのに、殺さないのは。











ここへ、連れてきたのは。


















ミサキ「……………それは、



















…私が、君を殺さないのは、



















貴方が、北星ツヅミじゃないから、だよ。」

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