羊というよりヤギですね1

xxvii ページ28

サトル「なっ！？な、なにを！？」


自分がそう言うと、酷く動揺した様子で声を荒らげる彼。

『ははは！図星みたいだね！！』

少し煽れば、どんどん冷静さを失い、動揺して、声を荒らげる。


サトル「違う！いい加減にしろ！！私に罪を擦り付けておいてまだ認めないつもりか！！！

聞いただろ、今コイツは自分を狼だと言った！
自白したんだ！！

今すぐ、今すぐコイツを処刑しろ！！！」


ぶんっと手をふり、今にも暴れだしそうな彼。

どうしても釣り上がってしまう口角を抑えることもなく、とびきりの嘲笑でたたみかける。


『冷や汗が止まらないみたいだね！そりゃあ、そうか。

誰だって自分の命が惜しいものだからね。

顔も真っ青のようだし…あぁ、そうだ！

医者なのだから薬を飲むといいさ！

精神安定剤とか、持っているんじゃないかい？

ぜひ服用するといいよ。そうすれば気持ちも楽になるだろう。


落ち着いて、死ねるさ。』






サトル「はぁ！？この女っ………！！！！」




ぶんっ、と、振り上がる手。







避けなど、しなかった。










どかっ………どたっ





右頬に痛み。
勢いのまま、地面に倒れ込む。


タケオ「おい、待て、落ち着け！」

サトル「はぁっ、はぁっ………！！！」



青かった顔が、今や真っ赤。


冷静さなど微塵もなく、獣みたいに、本能のまま行動に出る。




『……くっ、ふふ、』


サトル「なにを笑ってる！！！！！」





『いや、失礼。




あんまり惨めだから、つい、ね？』


思ったことを口にすれば、最後には血管まで浮かび上がってきた。


いいね、いいじゃないか、あぁ、本当に面白い。


もっと煽ったらどうなるだろう？


もっと馬鹿にしたらどう思われるだろう？


もっともっと興奮させてから一気に…………!



コウ「おい。」


グイッ





腕をつかまれ、無理やり立たせられる。


新村君だ。






彼は、うんざりしたように、言った。







コウ「いつまで、この茶番を続けるつもりだ。」







『………はぁ、つまらないね。ここからが面白いんじゃないか。』












ユキナリ「ちゃ、茶番…？」

乱闘が止められた隙を見計らい、今まで唖然とこのやり取りを見ていた彼らがようやく口を開く。

自分も、パンパンとホコリを払って自分の位置に戻った。

コウ「茶番だろ。狼でもないのに嘘なんかついて。くだらん。」

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