羊というよりヤギですね1

xxi ページ22

『おいしょ………いやぁ、歳かな。』

階段を上り下りするだけで疲れるなんて。これでも中学は運動部だったのだけれど。


ユキナリ「あ、ツヅミさん。」

『お、やぁ。チェック君。捜査は捗ってるかい？』

ユキナリ「チェ…？お、俺は霜月ユキナリだよ…」

『あぁ、失礼失礼。』

階段をやっとの思いで上り終え、病室で一休みしていた所に、チェック君が入ってきた。
お詫びの意を込めてひらひら手を降れば、相変わらず眉を八の字に下げる。

彼はいつもオロオロしてるな。…いやまぁ、それが普通か。


事件の手がかりを探してるのか、彼は救急箱とかを開いては注意深く観察している。

確か彼が調べているところには、注射器が入れてある箱もあったはずだ。
そうなれば、きっと彼は気づくだろう。


ユキナリ「…あれ。」


『それ、1本だけ注射器が無くなっているよね。』



突然また話しかけられて、ビクッと肩をあげる彼。
バチりと目が合う。ニコリと笑ってみせた。



ユキナリ「う、うん。」

『その顔だと、自分よりも何か知っていそうだね。

それならこれは、君に渡していた方がいいかもね。』


そう言って立ち上がり、彼の元に歩み寄った。

彼は警戒してるらしく1歩後ず去られけれど、そんなのお構いなしで距離を詰める。


ゴソゴソとポケットを探り、中に入っていたものを彼に差し出した。




『これ。植物室に落ちていたんだ。事件の手がかりかもしれないし、君に託しておくよ。』

ユキナリ「これは………」



それを受け取るチェック君。
まじまじとそれを観察する彼を横目に、今度は救急箱の中の薬を手に取ってみる。

『…おや？この薬…』

ユキナリ「ん？…それ、もしかして睡眠薬…？」

『そのようだね。既に何個か使われているみたいだけれど……
こんな状況下、眠れなくて薬に頼る人もいるかもね。』

ユキナリ「……………。」








リツ「あ？2人とも何してんだよ。」

…と、どうやら客人が増えたらしい。

『やぁ、どうも。捜査中さ。』


快く挨拶するとわかりやすく睨まれた。
わかりやすい子だなぁ。


リツ「そんなこと言って、証拠隠滅とかしてたんじゃないか？」

『あははまさか！まぁ、ここには薬もあれば医療器具もあるし、そう思われても仕方ないけれどね。』

リツ「…うわホントだ、ここ初めて来たけど、輸血パックとかもあるじゃん。」


そう言って、輸血パックを手に取る猫耳ちゃん。

チェック君も、そちらに視線を向ける。

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