我が心の白き薔薇 (ページ8)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:4,828 hit

第二幕ページ8

目が覚めると時計は朝の5時を指していた。いつも通りの朝だと思って着替えようとすると、同室である杉本さんが粗方の支度を整え終えていた。

「おはよう、杉本さん。」

「おはようございます。相原さん、次からはもう少し早く起きた方が良いですよ」

「朝5時でもう少し早く…?」

大事なことを忘れていたらしい私を見て、杉本さんはため息つきながら説明してくれた。

「今日から、本科生の先輩達と『朝の清掃』があります。これまでは登校まで余裕があったから自主練の時間も問題なかったと思いますが、朝6時から『朝の清掃』が入るので気を付けてくださいね」

「あ、なるほど…ありがとうございます。というか、私が朝の自主練してたの知ってるんだ…」

「同室でずっと見てますし、入学して間もないのに相原さんが1番洗濯の頻度高いですから」

「あはは…そうだね」

「予科委員長としての取りまとめもあるので、先に行きます。遅れないように」

「はい！」

杉本さんを見送った後、私も着替えて学校へ向かう。

毎朝日課みたいに聞いてたボカロが無くて、少し耳が寂しいけど、音楽は聞くだけが楽しみ方じゃない。

「――――――♪」

男役の私でいたらなかなか出せない高音域の声が風に乗る。

「歌うのも、踊るのも、演じるのも楽しいな…」

この先の不安を吹き飛ばすような軽いリズムが刻まれていった。