最初の１週間 ページ4
入学してから早くも一週間が経とうとしている。
入学して翌日2日目に声楽、3日目にタップダンス、バレエ、日舞、演劇、そして最終日は集団行動、といった感じだ。
「「おはよう、ミクちゃん！」」
「おはよう、千夏ちゃん、千秋ちゃん。今日もいい笑顔だね」
娘役志望の双子沢田姉妹は、明るく人懐っこくて、親しみやすい。敵ばかり増えるかもしれないという心配は、彼女達のお陰で吹き飛ばされたような気がする。
「ひゃぁ…昨日の演劇の授業の時から思ったけど、ミクちゃんの王子様スマイルって…ほんと反則…」
「千秋のそれ、分かるかも…なんか普段はミクちゃんなんだけど、男役モードのときはミク様、なんだよね」
「そう！」
姉妹で盛り上がってる中でどう反応すればいいか戸惑う。
「ミク様って…日舞が苦手なまだまだひよっこだよ」
「でも、歌と演技とあと立ち振る舞いかしらね。スターの素質は、既に見え隠れしてるわ」
3代続けて紅華入りの星野薫さんまで話に入ってきた。
「だといいけど…星野さんは、力強さが様になってて羨ましいよ」
「母もおばあちゃまも春組だったから、緩急の付け方は、紅華入ると決めたときから教わってたのよ。この前の日舞を見た感じ、静の動きに気をつければすぐに直るわ」
「なるほど、ありがとう」
「薫ちゃん、ミクちゃんには優しいね」
「には、は余計よ」
薫さんが頬を少しあかくした。
「でもまあ、ミクちゃんのあれを見ると、特待生とか関係なく応援したくなるよね」
「杉本さんも、相原さんのあれを見て精進することに精を出してるようね」
「ミクちゃんの演技、本当に凄かったもん！脚本から出てきたみたいだった！」
昨日の演劇の授業から、みんな私を見ては凄い凄いとほめてくるため、どうすればいいか悩む。
「昨日はたまたま私がミュージカルの時にやってた役と似てただけだよ。ほら、早く行こ？」
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作者名：アルテミリア | 作成日時：2021年9月15日 9時
