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A「どうやらまた戻ってきてしまったようです… 」


最終選別の後何処に行くのかも決めずにただ足だけ動かして立ち止まった場所で暮らしていこうと思っていました。


でもふと我に帰り足を止めた場所は今までずっとお世話になっていた竈門家が住んでいる雲取山でした。


もう2度と戻らないと覚悟したのに…私はここで沢山の幸せすぎる思い出を作ってきてしまったようです。


丁度遠くからでも竈門家が見えそうな程高い木があったのでそこの1番高い幹に座ってもう既に灯りが消えている竈門家を見ていました。


ふと夜空を見ているとその日の月は大変綺麗で思わず右手をその月の光で照らそうと腕を上げました。


「… 。」


私の爪は長くて尖っていました。
そう私はまた無意識に鬼になっていたみたいです。


月を見ていると何故だか無性に悲しくなります。


私はだんだん自分が鬼になる前の記憶が思い出せなくなっている事を自覚はしていましたがあの時の事をふと思い出しました。


「遊びをせんとや 生まれけむ
戯れせんとや 生まれけむ
遊ぶ子どもの 声聞けば
わが身さへこそ 揺るがるれ」


多分母上様でありましょう。
もうお顔は覚えておりませんが私も身体が弱くてずっと床にいて外で遊ぶことができない私を可哀想に思ったのか目をつぶって寝たフリをしていた私の頭を優しく撫でながらよく(うた)を読んでくださっていました。


あの頃私の頭を優しく撫でて必死に看病してくださった母上様…


遠いいとおいい記憶の中でその記憶は私に今を生きる理由を教えてくれ、そして昔を忘れかけている本当の自分をもう一度思い出させてくれる私の御守りのような記憶でした。


この記憶だけは…忘れたくない。


その記憶を思い出す度に私は強く強く心の中で願うのでした。

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(詩の現代語訳)

遊びをしようとしてこの世に生まれてきたのだろうか
戯れをしようとして生まれてきたのだろうか…

一心に遊んでいる子どもの声を聞くと、
私の体まで自然に動き出してくることだよ。


飢饉や戦乱で、明日生きているかどうかもわからない、つらい思いをしながら、なぜ生きていかなければならないのか。

それでも、子どもらは遊んで、戯れてる。

ああ、だから私は生きるんだ。

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(プロフ) - 人を愛し人に愛された鬼のお話 2【鬼滅の刃】のパスワードを教えていただきたいです! (2020年11月29日 19時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
狩華 - すみません、パスワードがわからなくてこの小説の続きが見れないんですが…教えていただけないでしょうか…? (2020年11月21日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆ。(プロフ) - 東方Pさん» ご指摘ありがとうございます、直しておきました! (2020年6月14日 16時) (レス) id: 228204aa84 (このIDを非表示/違反報告)
東方P(プロフ) - 47ページの、実弥の字が巳になっています。あとおもしろいです! (2020年6月14日 14時) (レス) id: e701055d1b (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆ。(プロフ) - 白玉の星さん» コメント嬉しいです!ありがとうございます!返信の仕方が分からず遅くなってしまいごめんなさい!面白いと言っていただけて嬉しいです!これからも面白く書けるように頑張ります(笑) (2020年5月28日 19時) (レス) id: 228204aa84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぎゆ。 | 作成日時:2020年5月18日 15時

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