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縁壱side
だがやつは頸を斬っても死ななかった。
だが確かに赫刀で斬られた自分の身体が再生しない事に困惑していた。
「命をなんだと思っている?」
とやつに問うが、やつは返答をしなかった。そしてその顔は怒りで赤黒く染まっており、私は自身の言葉がやつの心に届かないことを悟った。
私が女の鬼の方を見ると、その鬼はやつを助けようとせず、頸を斬られたやつを凝視していた。
その眼はキラキラとした希望の光で輝いていた。私は女の鬼よりも先にやつにとどめを刺そうとした。
そして私がやつに一歩近づくと、そいつの食い締められた奥歯が砕ける音がした。
その瞬間、やつの肉体が千八百もの肉片になって勢いよく弾けた。私は千五百と少しの肉片を斬ったが、残りの肉片を逃してしまった。逃した肉片は合わせればきっと頭くらいしかなかっただろう。
私が立ち尽くしていると、女の鬼が鳴き声のような声と共に倒れ込んだ。女の鬼は「もう少しだったのに、もう少しだったのに…頸の弱点を克服していたなんて…」と言って頭を掻きむしった。
私は何とかその鬼を宥めてさっきの男の鬼の事を聞きだした。今は男の鬼も弱っていて他の鬼達はそいつの支配から一時的に解放されていた。
彼女の口から発せられたそいつの名前は『鬼舞辻無惨』。鬼の始祖であり最強の鬼でもあった。
女の鬼は無惨は私が死ぬまで姿を現さないだろうと言った。
私は女の鬼に無惨を倒す手助けを頼んだ。女の鬼は戸惑いつつもその頼みを了承した。その女の鬼は『珠世』という名前だった。
珠代を逃がし私も帰ろうとした時だった。
駆けつけた仲間から自分の兄上が鬼になった事を聞かされた。
私は無惨を倒せなかった事、珠世を逃した事、兄上が鬼になった事を鬼殺隊の隊員から責められ、鬼殺隊から追放される事になった。
一部の者は私に「自刃せよ」と迫ったが、産屋敷家の当主と煉獄家によってそれを止めた。
一通り今まで自分に起きた事を包み隠さず全て炭吉に言った。
彼は私の話を聞いて縁壱さんは悪くないっと言ってくれた。
しかし、「私は恐らく鬼舞辻無惨を倒すために特別強く造られて生まれて来たのだと思う。しかし私はしくじった。結局しくじってしまったのだ。私がしくじったせいでこれからもまた多くの人の命が奪われる。心苦しい。」と口にした。
炭吉は私にかける言葉が見つからなかったのか、困ったような泣きそうな顔をしてただ黙っていた。
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舞(プロフ) - 人を愛し人に愛された鬼のお話 2【鬼滅の刃】のパスワードを教えていただきたいです! (2020年11月29日 19時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
狩華 - すみません、パスワードがわからなくてこの小説の続きが見れないんですが…教えていただけないでしょうか…? (2020年11月21日 0時) (レス) id: 95ea5261ad (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆ。(プロフ) - 東方Pさん» ご指摘ありがとうございます、直しておきました! (2020年6月14日 16時) (レス) id: 228204aa84 (このIDを非表示/違反報告)
東方P(プロフ) - 47ページの、実弥の字が巳になっています。あとおもしろいです! (2020年6月14日 14時) (レス) id: e701055d1b (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆ。(プロフ) - 白玉の星さん» コメント嬉しいです!ありがとうございます!返信の仕方が分からず遅くなってしまいごめんなさい!面白いと言っていただけて嬉しいです!これからも面白く書けるように頑張ります(笑) (2020年5月28日 19時) (レス) id: 228204aa84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぎゆ。 | 作成日時:2020年5月18日 15時