✾ 夢 (ページ9)

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外側には、「正しい」をする自分が居ます。今までと何ら変わりなく、父に倣い、母に従い、兄を慕う自分です。否、もしかすれば、それまで以上に「正しい」をなぞるようにしていたかも知れない。傍から眺められるくらいでも、完璧に見えるように。それこそ、他人から望まれているような姿で居るようにしておきたかったのです。
　そして、内側には、「正しい」を受け入れることができない、表には出て来ない自分が居ます。その自分は、……………………今では「正しい」という言葉と同じくらい、私でもよく分からないのですが、しかし、少なくとも、どんな自分よりも自分なのです。………………………………あはははっ、あはははははははは、……可笑しいことだ。言葉が詰まってしまった。否、全くもって可笑しい。可笑しいなぁ。私でも、今、自分で言葉を詰まらせてしまったことが信じられません。まさか、私に限ってこんなことがあるなんて。今丁度、自身の在り方を分ける、という言い方をしたばかりだったのに。ふふふふ。まさか説明できないだなんて、はは……はははははっ。嗚呼、ははっ、済みません、久しぶりに笑ったら止まらなくなってしまって。ふふふ…………。……大丈夫です、もう落ち着いてきました。しかし、笑うと頭に熱が溜まりますね。嗚呼熱い。また笑い出さない内に、話を進めてしまいましょう。

　……しかしまぁ、「壁」というのはなかなか難儀で、強く「壁」を抑えていなければ、直ぐにでも内側の自分が……えぇ、そうです。先程説明できなかった方の自分です。それが「壁」を叩き始めるので、完全に慣れるまでは、外側の自分を保つことがあまりに難しかったのです。ですから最初のうちは、失敗だっただろうか、と少し悩みました。しかし、慣れさえすればなんてことはなく、以前と同じように過ごすことができました。

十→←八