9話【山田洋介】 ページ9
アーレスが健在する町から少し離れの位置に存在する小さな村。そこに魔物の目撃情報があったと聞いた俺は、散歩がてら撃退しようと向かった…んやけど。
ほぼ半壊したれんが造りの家々と抉られた地面に木々達。
更に村から少し離れた位置に居ってもわかるくらい強い鉄の臭いと腐敗臭…それに微かに臭う火薬と何かが焦げた臭いが混じり最悪な形でフワリと風に乗っとる。くさい。
…んで、多分魔物に食い散らかされた”人やったものたち”はそれはそれは可哀想な姿で色んな所に捨てられている。グロテスク。
「…いや、どこやねんここ」
手に持っていたまだ繁栄してる時の村の写真とのあまりの変わりように思わず誰も居らんっちゅーのにそんな独り言に近い静かなツッコミが口から溢れた。
いや、ホンマに何?この状況は。
え、なんか怖いし臭いし見てただけで呪われそう。いや、こうなってんならホンマ目撃情報とか無視しとけば良かったぁあああ。
そんなほぼほぼ後悔に近い感情を胸に抱きながらとりあえず生存者が居ないかゴーストタウン(?)と化している村を探索し始めた。
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この村は小規模やったらしいけど見た感じ最先端の電化製品とかがあったりすることから結構発展してたらしいな…お、なんかあるわ!
ボロボロになった家々から比較的綺麗に保たれている家を見つけた俺は特に盗みの予定は無いがとりあえず物色していた。壊れた机や冷蔵庫と色んな物が可哀想な形で置かれてるなか鮮やかな物がふと視界の端に写った。
「あぁ、なんや。カレンダーか」
崩れた木々の間に奇跡的に挟まっていたソレを手に取る。幼児の教育用カレンダーというのに一瞬興が削がれたが今日の日付の所がやけに鮮やかなのが気になりよく見てみると、赤い大きなはなまるのそばにまだ幼い子供が書いたのであろう拙い文字ででかでかと”そんちょうさんのたんじょび”。
「ほぉ、そか。ここの村長今日誕生日なんか!」
手に持っていたカレンダーを綺麗に見える位置にたてる。
「なんや幸せ者やなぁ村長さんは…大事にしとった者全部と一緒に死ねるんやから」
もう寂しくないわな、と呟きながらもう何も興味の無くなった朽ちた家から外へ出れば橙色に染まり始めた空が目に映った。
「…帰るか」
生存者も魔物も居らんようやし…と彼はアーレスの元へゆっくりと歩き出した。
_後に、「…は?ルーちゃんが倒れた!?」と妙に焦った声と共に慌てて走り出した彼が木の根につまずき派手に転けたのは別の話。
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緋雨(プロフ) - 更新しました (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨(プロフ) - 更新します。 (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 終わりました。 (2019年1月12日 20時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 更新します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 終わりました (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0f72c4ac28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーレス(八彩・ユリ夜桜) x他3人 | 作成日時:2018年9月15日 13時