【アーレス】Don't look back!【小説版】 (ページ6)

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6話【桜庭琉叶】ページ6

______......カーテンから漏れる光で目が覚めた。

どうやら自分のルームメイトである"弟"はカーテンを閉め忘れていたらしい。

とても、不愉快だ。

部屋の外からは生活音などは聞こえず、
まだ早い時間を示す時計を見てさっさと着替えを始める。

毎日遅くに帰り、誰とも会わずに睡眠をとり、
朝早く、誰とも会わずに出かける俺にわざわざ早朝から話しかけてくる人間などおらず、
いつも話し声に溢れているであろうリビングに人影はいない。

特に用もないのでリビングや台所をスルーして外へと出る扉へと手をかける。

「……大丈夫、俺は"元気"だから」

自分に言い聞かせるようにそう呟いてため息をついた。

こうやってシェアハウスから逃げるような行動を取っていても何も変わらないことは気づいているのに、あの日から何も変わっていないなぁと思う。

__にも、あいつにも、そしてアーレスのメンバーとも今はまともに話せる気がしないのだ。

頭ごなしに怒鳴りつけて、今の関係を悪化させてしまうことは目に見えている。

何より、能力を通して見える。

アーレス……だけじゃない、あのメルクリアのメンバーも抱えてる大きな嘘が、どうしても自分には飲み込むことが出来ない。トラウマと呼ばれるそれはどれだけ必死にひた隠しにしていても嘘という形で見えてくる。

俺には関係ないと言い聞かせても今は面と面向かって割り切ることは出来ないのだ。

……特にあいつの事は、
俺にとっては耐え難い苦痛でしかない。

さあ、今日も外へ散歩に行こうかとドアを開けようとした時

誰かが階段から降りてくる音。

今は誰とも会いたくないなぁ、と苦笑し、

後ろを振り向かずドアを押した。

今朝も鬱陶しい程の晴天で、
誰にも声をかけられなかったことにほっと、息を吐いた。