【アーレス】Don't look back!【小説版】 (ページ12)

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12話【ルルチア=ロッキ】《記憶×魔物》ページ12

しばらくの沈黙、時計がカツカツと進む音、暗く悲しくなるくらい寂しげな夜…。
零はまだ焦りを感じているのか、ルルチアとの会話をしようとしない。またルルチアも自分のことで頭がいっぱいになってきたのか会話をしようとはしなかった。
〘トラウマの具現化〙
そんな魔物、あまり聞いたことがなかった。一体そんな魔物どこから出てきたのだろうか…？

「ねぇ」

零さんが口を開いた。僕は少しだけびくっと肩を揺らした。少しだけ形相が怖かったからだ。あまりにも珍しい形相をしていた。怒っているようなでもどこか怯えているような…そんな感じをしていた。

「その事なんだけど……少しだけ考えさせてくれないかな？」

「……なんで…」

意味がわからなかった、そう言われる意味が。零さんのこともましてやアーレスの皆のことを思って言った事だったからだ。気持ちがぐらついてくる。頼ってくれないという寂しさと激しい憎悪が増してくる。悲しい、憎い、悲しい、憎い、悲しい、憎い、憎い憎い憎い………
でも…この感情を押さえつけたい。大好きなお姉ちゃんにそんなこと思っちゃいけない。思っちゃいけないのに思っちゃう…

＿＿＿＿＿＿＿＿ちゃりん＿＿＿＿

「…?!」

なんでまた…？

＿＿＿＿＿＿＿＿ちゃりん＿＿＿＿

「…ルルチア？」

＿＿＿＿＿＿＿＿ちゃりん＿＿＿＿

体が締め付けあげられるような感じがした。冷たい冷たい鎖に。零さんが何かを言っている気がする。それも聞こえない。

「ルルチア！ルルチア!?聞こえてるっ？！」

「おね、え…ちゃ、ん……」

＿＿＿＿＿＿＿＿ちゃりん＿＿＿＿

「いや、いやだ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!来ないで!!!!!!」

アーレスの家中に伝わるくらいの大声だった。恐らく何人かは起きただろう。隣の部屋が騒がしくなった。その時気づいてしまったのだ。僕の本当のトラウマ…いや、魔物を。僕にとっての本当の魔物は僕自身の記憶なのだ。それが鎖となって、具現化して、出てきているのだ。感情が変に動くと出てきてしまう。それが能力であり、魔物なのだ。どうしようもない気持ちが恐怖が僕を包み込んで行った。

「ルルチア！」

零さんが僕のことを抱きしめている。でも、体に温もりを感じることが出来なくなっていた。悲しくなるくらいに…。

誰か…た、すけ、て………

＿＿＿＿
こんばんは、緋雨です。
ここからは魔物退治ですかね？
具現化の魔物って多分こんな感じと思ってやってみました。あとはよろしくお願いします！