橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのキュウ (ページ5)

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サンビャクキュウジュウナナ話　第三者視点ページ5

ジャンヌが差し出した水の入ったコップを受け取り、飲む。

それでも酔いは治まっていないようで、大河の頬は赤く、目は潤んでいた。

「だから今日はとことん飲むんだぞー！」
「『あははは……。お手柔らかにお願いしますね、大河』」
「無・理！だがしかし！もうつまみがない。作ってくれる士郎はもう寝ちゃった。ということで！今いるメンバーで買い出し決めのじゃんけんをしようと思います！異論は認めません!!」

じゃんけん？と首を傾げる二名。

こっそりと耳打ちでルールを説明する一名。

「なるほど。ぐーはちょきに強く、ぱーに弱い。ちょきはぱーに強く、ぐーに弱い。ぱーはぐーに強く、ちょきに弱い。ですね」

現界歴が長いディルムッドの説明により、セイバーもジャンヌもルールは理解。

むふふと笑う大河が最初はぐーと、よくある掛け声を上げてから手を出した。

さて、ここで幸運値のおさらいをしておこう。

今いるメンバーで一番幸運値が高いものは大河である。

ランクで表示するならばEX相当。

次にセイバー、ランクはA+。

士郎がマスターであったときはもっと低かったが、今セイバーと契約中のマスターは凛のため幸運値を含めた諸々の能力が本来のスペックに近い形になっている。

その次はジャンヌだ。

幸運値はCランク、だがもしAであったのなら大河同様のEX相当のランクだったのだが彼女は今ぐっすりと眠ってしまっているため、表面に現れているジャンヌの幸運値となっている。

最後に、ディルムッドだ。

Aを主人としているため幸運値は最低ランクではなくジャンヌと同じCランクだが、生憎主人であるAは眠ってしまっているため一時的にランクが元の最低値になってしまっている。

ここまで言えば、結果はわかることだろう。

「……」
「ということで！ディルさん買い出しよろしく！」

見事、一人だけチョキを出したディルムッドは自身が出した手の形を見て項垂れていた。

幸運Eであることをこれほど恨んだことがあったか、いや何度もあったか。

満面の笑みを浮かべた大河が買い物リストを差し出してくるため、気持ちを切り替えて頷く。

「あぁわかった」
「お金は戻ってきたらいくらか返すからね」

よろしく！と手を上げる大河と、その隣でじっとディルムッドを見るセイバーを見て、こちらも頷く。

「セイバー、二人のことを頼む」
「あぁ任せろ。ラン……ディルの方も気を付けてくれ」